狙うはITグロース株 成長率の高いIT株を解説するブログ

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アップルはこれから業績が伸び悩む可能性が高い

みなさん、こんにちは。

 

4月30日、アップルが2019年度第2四半期(1月〜3月)の業績を発表しました。

 

売上高が前年同期比5%減の580億1500万ドル、純利益は16%減の115億6100万ドルでした。ちなみに、アナリストの業績予想よりも内容がよかったため、アップルの株価は5月1日時点で上昇しました。

 

市場で見ると、中国大陸での売上減少が大きく、前年同期比に比べて約21.5%ダウンしています。

 

アップルの業績不振は一時的なものなのでしょうか、それとも今後も恒常的に業績が伸び悩む事態が続くのでしょうか?

 

私は後者の可能性が高いと考えています。

 

アップルが中国大陸で売上を大きく落としている原因は中国メーカーがアップルのシェアを奪っているからです。

 

以下のグラフを見ればわかる通り、中国メーカーはかつて中国市場を席巻していたサムスンを完全に駆逐してしまい、近年は徐々にアップルのシェアも奪っています。

 

 

中国市場におけるスマホ出荷数のメーカー別シェア

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中国メーカーの代表例として、小米、VIVOOPPO、ファーウェイなどが挙げられます。これまで中国メーカーのスマホは低価格だけどそこそこの品質であるため、中〜低所得者層から支持されていました。

 

しかしながら、近年、ファーウェイは高品質なスマホを市場にリリースしており、これまでアップルのiPhoneを使っていたユーザーがファーウェイ製にシフトしてきていると言われています。

 

実際、ファーウェイは開発力を着実に向上させており、世界のスマホメーカーの中で唯一、5G向けスマホ半導体を自社開発することができます。一方、アップルは特許侵害で半導体メーカーのクアルコムともめたため、自社で5G向け半導体の開発に乗り出したものの、結局、うまくいきませんでした。最近、アップルはクアルコムと和解しましたが、開発がうまくいかないアップルがクアルコムに頭を下げて、クアルコムに有利な条件で半導体の提供を受けることになったと言われています。

 

更にファーウェイは2019年2月24日にバロセロナで開催されたイベントで以下の折りたたみ式のスマホを発表しています。商品の革新性においてもすでにアップルのiPhoneの先を行っている状況です。

 

私は情報通信分野のハードウェアはこれから中国メーカーが世界を席巻することになると確信しています。たとえアップルであっても、ハードウェアの開発競争で中国企業に太刀打ちできなくなっていくでしょう。

 

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参照:HUAWEI HP

 

おそらく、今後、中国市場のみならず、他の市場においても徐々にiPhoneからファーウェイ製へユーザーシフトが進んでくると思います。現在、アップルは収益源をハード販売からソフト販売へ軸足を移してきていますが、iPhone自体が売れなくなってしまうとアップルが支配していたプラットフォームが縮小することになり、ソフトでも十分な収益が得られない状況に陥ってしまうでしょう。

 

ただし、現時点でアップルはGAFAの中でも突出した営業利益を叩き出しているため、長期的にはビジネスモデルを転換させる体力は十分あると思います。構造改革の途上で資金ショートして、倒産するような可能性は非常に低いでしょう。

 

個人的に、アップルは医療機器&サービス・プロバイダーにうまく転換できるのではないかと考えています。実際、アップルは医療分野での研究開発を非常に積極的に行なっていると言われています。

 

例えば、腕時計型のアップル製品を手首につけていると、24時間自動的に脈拍などのバイタルデータを収集し、脳卒中心筋梗塞の兆候があるとAIが自動的に事前検知して本人や家族へ伝えるシステムなどはアップルの豊富な資金と高い技術力があれば将来的に開発は十分可能だと思います。命に直結する商品・サービスならば多くの人々が大金を払ってでも喜んで利用するでしょう。

 

ただし、アップルはこれから数年間はiPhoneの売上げが伸び悩み、株価が大きく上がることは期待できない気がします。

 

上記の理由から私はこれからの数年間、アップルの個別株へ投資するつもりはありません。