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2020年代に急拡大するプラットフォームについて(その1:MaaSと呼ばれるモビリティ・プラットフォーム)

みなさん、こんにちは。

今回はこれから大きく発展するプラットフォームについて解説します。

 

1990年代半ばにインターネットが普及したことにより様々なプラットフォームが誕生しました。様々なサイトを効率的に見つけることができる検索ツール、あらゆる商品を販売するEコマースサイト、多くの知人と円滑にコミュニケーションがとれるSNSなどがプラットフォームの代表例だと言えます。

 

また、それらのプラットフォームを支配するグーグル、アマゾン、アリババ、フェイスブック、テンセントなどがITメジャーとして台頭しました。

 

それでは2020年以降はどのようなプラットフォームが大きく成長するのでしょうか。私は配車を中心としたモビリティ・プラットフォームとスマホ決済を中心とした電子決済プラットフォームの2つが大きく成長すると確信しています。これらのプラットフォームを支配した企業は2020年代にグーグルやアマゾンのように急成長すること間違いありません。

 

今回はモビリティ・プラットフォームについて説明します。白タクが禁止されている日本ではまだ利用が進んでいませんが、海外では車やバイクをスマホの配車アプリを使って呼ぶことがもはや当たり前になっています。

 

私自身、2年前に中国に住んでいた頃は滴滴打車と呼ばれる配車アプリで頻繁に車を呼んでました。また、先日、米国へ出張した際、移動の際にはUberを利用しました。中国にせよ米国にせよ普通のタクシーよりも配車アプリで一般人が運転する車を呼んだ方が値段が安く、車内も清潔で、運転手もフレンドリーなので人気が出るのは当然だと思います。

 

現在、Uberや滴滴打車などは日々のユーザーの移動データをAIに学習させることにより、非常に高い精度で乗車予測ができるシステムを構築しようとしています。このシステムが完成すれば事前にいつ、どこに、何台車を投入すればいいかかなり正確に予測できるようになり、その結果、配車アプリ企業は必要最低限の車両数で効率的に配車することが可能になると言われています。

 

ちなみに、この需要予測システムが重要になってくるのは2025年以降の自動運転車の普及開始時期においてです。予測システムが計算した計画に基づき、一瞬で必要な場所に必要な台数を自動配車するになり、今と比べて配車の効率性は飛躍的に向上するでしょう。

 

また、自動運転車の普及が始まると、配車ビジネスのコスト構造も激変します。現在、日本のタクシー業界では原価の70%以上がドライバーや配車を手配する職員などの人件費が占めていると言われています。自動運転が普及すると運転や配車調整を人に代わってAIが代替するようになるため、70%の人件費がかからなくなり、料金を劇的に引き下げることが可能になります。

 

上記で説明した需要予測システムによる効率的な配車及び自動運転による劇的なコスト引き下げのダブル効果により、自動運転車の普及が始まる2025年以降、車を保有するのに比べて圧倒的に安い費用でいつでもどこでも5分以内に迅速に車を呼べるようになることが期待されます。

 

その結果、2025年以降、車は保有するものではなくなり、配車サービスで利用するものへと変わっていくでしょう。そうなれば、あらゆる人が日常生活で頻繁に配車サービスを利用するようになり、この配車サービスを中心としたモビリティ・プラットフォームがグーグルの検索ツールやアマゾンのEコマースサイトに匹敵する規模まで成長することは間違いありません。

 

まさに2025年をターニングポイントにして、モビリティ・ビジネスは激変し、既存の自動車産業やタクシー・バス業界が大打撃を受ける代わりに、超巨大なモビリティ・プラットフォームが形成されるでしょう。

 

それでは2025年以降、このモビリティ・プラットフォームをどの企業が支配するかですが、当然ながら、現時点で、多くのユーザーとドライバーをすでに囲い込んでいるUber、滴滴打車などの配車アプリ企業が非常に有望でしょう。

 

ただし、2025年に自動運転車の普及が始まると状況は少しずつ変わってくると思います。自動運転テクノロジーで圧倒的な優位性を持つグーグルが各国においてNo1配車アプリ企業のライバル(例えば米国ならLyft)と手を組んでモビリティ・プラットフォームを奪いにくる可能性が十分あります。

 

一方、グーグルが各国のNo1配車アプリ企業と包括提携する可能性もあると思います。複数のNo1配車アプリ企業の筆頭株主であるソフトバンクの仲介を通じてグーグルとNo1アプリ企業との強者連合が形成されれば、強者連合のメンバーが確実にモビリティ・プラットフォームから得られる利益を独占するでしょう。坂本龍馬を尊敬している孫正義さんが薩長同盟を意識して、今後、そのような動きをとっても全くおかしくはないと思います。

 

以上の観点から、私はモビリティ分野においてグーグルが台風の目になると思っており、今のうちからグーグルには多額の投資をしています。

 

一方、配車アプリ企業は、競合間での激しい競争の中、どの企業も業績赤字が続いており、現時点で黒字化の見込みが全く立っていない状況です。今年、UberLyftが上場しましたが、株価はいまいち冴えません。おそらく黒字化の見込みが立たないと株価は大きく上昇はしないでしょう。

 

私も現時点ではこれらの配車アプリ企業への投資は全く考えていません。投資したところで数年間は大きく値上がりする見込みが立たないので。。。

 

これらの配車アプリ企業への投資は自動運転車の導入が視野に入り、業績改善の見込みが立ってきたら初めて本格的に検討を開始しようと考えています。