狙うはITグロース株 成長率の高いIT株を解説するブログ

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IBMへの投資はあまりおすすめしません・・・

みなさん、こんにちは。

 

4月16日、IBMが2019年1月〜3月の業績を発表しました。

 

売り上げは前年同期比で約2%のマイナス、純利益は約5%のマイナスになりました。結構厳しい内容ですね・・・これまでのビジネスでキャッシュはかなり溜め込んでいるため当分、高い配当は維持するでしょうが。

 

80年代、IBMはビッグ・ブルーと呼ばれコンピューター産業のトップに君臨していました。その後、コンピューターが大型のメインフレームから小型のパソコンへシフトしていく中、業績を落とし続け、あわや倒産かと噂されましたが、1993年にルイス・ガースナー氏がCEOに就任して、抜本的なリストラクチャリングを実施したことで、ITコンサルなどのサービスを中核ビジネスに据えて、見事、復活を遂げました。

 

IBMの復活劇についてはガースナー氏が後に書いた「巨像も踊る」で詳細に書かれています。私も10年ほど前に一度読みました。内容の詳細は忘れてしまいましたが、「頭がよくて正しい計画を立てられる人はそれなりにいるが、その計画に向けて日々正しい努力を休まず続けられるかが大きな差を生むのだ」といった記述があったのは鮮明に覚えてます。三日坊主の私には耳が痛い言葉です(苦笑)

 

現在、IBMの主力ビジネスは以下の通りです。

1.クラウド・サービス及びAIシステム・サービス

2.IT関連のコンサルティング

3.BtoB向けITインフラの提供

4.BtoB向けハードウェア及びオペレーティング・システム・ソフトウェア

 

いまいちわかりづらいですが、1は人工知能ワトソンを使ったAIサービス、2はそのまんまコンサル、3と4は企業へのITシステムの提供及びサポートといったところです。

 

ちなみに2のコンサル以外は2019年1月〜3月の売り上げは前年同期比で全てマイナスになってます。コンサルもぎり微増の状態なので、全てのセグメントがパッとしない状況です・・・

 

これまでIBM人工知能ワトソンの開発に積極的に力を入れてきました。ワトソンとは言語処理に関する認識型AIであり、2011年にアメリカのクイズ番組で人間のチャンピオンを破って大きな話題になりました(それに対して言語関係のAI開発者は「ワトソンは言語を人間のように理解しているのではなく、単に質問に含まれている複数の単語に基づいて、より合理的な回答を機械的に抽出しているだけだ」と言っていましたが・・・)。

 

ちなみに、ワトソンはヘルプデスクやコールセンターなどで活用が進んでいるそうです。これらの業務は労働集約的なのでAIで代替できたら企業としては人件費の大きな削減が期待できるでしょう。

 

ただし、人工知能の性能は学習させるデータの量で決まると言われています。IBMはデータが大量に集まるプラットフォームを持っていないので、どうしてもグーグルなどと比べて人工知能の開発競争に遅れをとっているのではないかと個人的には考えてます。

 

やはり、人工知能開発はグーグルが突出していると思います。この分野で先行をしていたIBMもこれからはグーグルなどのITメジャーに押されてジリ貧になっていく可能性が高いです。

 

なお、IBMのここ5年間の株価は下降トレンドが続いています・・・

 

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出典:Google
 

私が購入しているVGT(バンガードの情報技術セクターETF)にもIBMは金額ベースで9番目に組み込まれていますが、IBM以外の上位組み込み企業はみんな上昇トレンドなので、IBMが一人足を引っ張っている状況です。できることならばIBMを外してもらいたいです・・・

 

かつてIBMはドラスティックなリストラクチャリングを行って見事に復活を遂げました。今回も同様にITメジャーと競合せずに自社の強みが生かせる分野に集中することで業績を大きく改善していってもらいたいところです。ただ、復活は当分先だと思うので、株価が上昇トレンドに転換するのも数年先だと思います・・・