狙うはITグロース株 成長率の高いIT株を解説するブログ

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アリババの長期ビジョン

みなさん、こんにちは。

 

現在、米中貿易摩擦問題が原因で株式市場が下落基調にあります。

このような状況の中、先週、私はアリババの株を1株150ドルで約200万円分購入しました。

 

以下のアリババの株価チャートが示す通り、ここ1ヶ月間でアリババの株価は約200ドルから約155ドルまで下落し、PER(株価収益率:1株当たり純利益の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度)も32まで低下しました。

 

私は以前から、PERが35を下回ったらアリババ株を買い入れるつもりだったので、有言実行しました。今後も米中間の貿易交渉の動向を見つつ、更に大きく株価が下がったら追加購入する予定です。

 

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出典:Google

 

さて、今回なぜ私はアリババの株を購入したかと言いますと、アリババが目指す長期ビジョンが非常に壮大であり、実現すればアマゾンを凌駕する規模までアリババが成長でき、株価も現在の10倍以上にはなると考えているからです。

 

ご存知の通り、アリババは中国最大手のEコマース会社です。しかし、一方で電子決済でも中国で一番市場シェアをとっており、それから獲得できるマネーデータ等などに基づき、中国人のスコアリングを行なっています。

 

そのスコアリングは「芝麻信用」と呼ばれており、以下の5項目に基づき個人の信用度を評価してます。

 

1.身分特質:社会的ステイタスなど

2.履約能力:支払い能力

3.信用歴史:クレジット履歴

4.人脈関係:交友関係の社会信用スコア

5.行為偏好:消費行動の傾向

 

中国では芝麻信用のスコアが高いと、低い金利でお金が借りられる、外国のビザ取得が簡単になる、ホテルなどのデポジットが不要になるなど様々な恩恵が受けられます。

 

アリババの創業者のジャック・マーは「マネーデータに基づく個人情報のビッグデータこそがこれからの利益の源泉であり、Eコマースはそのビッグデータ取得のためのガソリンに過ぎない」と言っており、今後、アリババはマネーのビッグデータ取得を積極的に進めていくでしょう。

 

現在、中国政府は一帯一路と呼ばれる政策を積極的に進めています。一帯とは中国と海外を繋ぐ海の経済リンク(海のシルクロード)、一路は陸の経済リンク(陸のシルクロード)を示しており、世界各地で中国とつながる国際鉄道網の構築、大規模港湾施設の建設、関税等の共通化・簡素化を進めることにより、中国と欧州・中央アジア・東南アジア・南アジア・中東・アフリカなどとの経済統合を進めていこうとする考えです。

 

アリババはこの一帯一路政策に乗っかって、海外と中国の国際交易のオンライン・プラットフォームを支配することを目指しています。最終的には、海外や中国の企業が国際ビジネスを行う際、アリババがこれらの企業に代わって為替決済、輸送、通関手続きを実施するとともに、芝麻信用に基づき取引先の信頼性を適切に評価するとともに必要な資金を迅速に貸し付けることを想定しています。

 

もし、このようなオンライン・プラットフォームが構築されれば、今まで大企業でなければできなかった国際ビジネスを個人でも簡単に実施できるようになるでしょう。例えば、中国の農村で工芸品や農作物を作っており、海外ビジネスに全く経験のない人が、自分の作った物を簡単に世界中で販売できるようになるイメージです。

 

また、もしこのような壮大なプラットフォームが構築されれば、そのプラットフォーム上での決済はアリババの電子マネーで実施されることとなり、その結果、アリババの電子マネーが米ドルに匹敵する国際基軸通貨になる可能性もあります。そうなれば世界のマネーフローの大部分をアリババが完全に把握することになります。

 

近年、アメリカ政府は中国叩きを加速させていますが、それは、このままだと上記のように中国に世界の経済的覇権を取られてしまうという強い危機感が背景にあります。

 

もちろん、アリババが上記のような壮大なプラットフォームを構築するにあたり、アメリカ政府やアメリカ企業(主にアマゾン)は激しく攻撃するでしょう。現在、アメリカ政府はファーウェイを徹底的に叩いていますが、次のターゲットはアリババかもしれません。

 

一方、欧州や発展途上国アメリカが自国第一主義を掲げる中、中国との経済的関係を深めることで自国経済の活性化を図ろうとしています。実際、一帯一路政策によって中国と欧州間で鉄道網が整備されたことにより、現在、中国には欧州の商品がどんどん入ってくるようになっています。もはやアメリカは経済的パートナーとして期待できないため、欧州や発展途上国は代わりに中国との経済的結びつきをこれから一層深めていくでしょう。

 

このような状況を踏まえると、将来的にアリババが少なくともユーラシア大陸の国際経済のプラットフォームを握れる可能性は十分あるでしょう。将来の期待リターンの大きさを考えると、今のタイミングでアリババに数百万円投資する価値はあると思います。