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ファーウェイについての完全解説

現在、米中貿易問題の渦中にいるファーウェイですが、この企業の実態はあまり知られていないと思います。今回はこの企業の実態について詳細に解説していきます。ちなみにファーウェイは上場していないため、株を購入することはできません。。。。ただし社員になれば自社株が毎月提供されるとのことです。

 

1.ファーウェイの歴史

ファーウェイは1987年に任正非が通信電話向けのインフラ機器を開発・生産する企業として中国の深セン市に創業した企業です。任正非は元人民解放軍の職員であったため中国政府とのつながりが噂されますが、ファーウェイ自体は完全な民間企業です。

 

ファーウェイの設立当時、中国には通信インフラ機器を生産する複数の国有企業が存在し、これらの国有企業は中国政府の積極的な支援のもと、中国の大都市を中心にビジネスをしていました。

 

一方、資金力が劣り、中国政府の支援が得られないファーウェイは国有企業が軽視する地方を中心にビジネスをすることでこれらの国有企業との直接の競合を避けていました。

 

ファーウェイは設立当時から売上高の10%以上の資金を研究開発に投資することで、着実に開発力をつけていきました。また国有企業に比べて、組織の運営効率が高く、更には顧客重視の姿勢が評価されて、徐々に国有企業が支配する大都市でもビジネスを行うようになりました。そして、90年代後半には中国における最大の通信インフラ機器メーカーまで成長しました。

 

1997年には香港に進出し、その後、海外市場への進出を果たしました。海外市場でも当初はノキアエリクソンなどグローバル企業との激しい競合を避けるため、アジア、アフリカ、南米などこれらのグローバル企業が手薄な発展途上国を中心にビジネスを行い、十分な技術力や資本力がつくに従い、徐々に先進国へ進出していきました。

 

2008年、ノキアエリクソンリーマンショックの影響で売上げを大きく落とす中、ファーウェイは着実に拡大する中国市場の恩恵も受けて、着実に売上げを伸ばし、2012年には売上高でエリクソンを抜いて世界最大の通信インフラ機器メーカーになりました。

 

2.ファーウェイの研究開発

ファーウェイは毎年売上高の10%以上を研究開発に投資しており、研究開発を大変重視しています。2018年の研究開発の投資額はグーグルやインテルに匹敵すると言われています。

 

ファーウェイにエンジニアとして入社するには、基本的に専門分野で博士号を取得している必要があります。業務環境は非常にハードであり、多くの職員が深夜まで働いていますが、様々な奨励制度があって、高い成果を出せば頻繁にボーナスがもらえます。成果主義の給与体系で年収1億円を超える職員も多いと言われています。

 

なお、ファーウェイの新しい研究開発拠点は本社がある深セン市に隣接する東莞市に最近設立されました。まるでディズニーランドのような所で、敷地内には湖(湖の小島には教育施設もあり)や小山(職員向けのハイキングコースもあり)などもあります。 

 

ファーウェイの東莞研究開発拠点

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出典:中華IT最新事情(http://tamakino.hatenablog.com/entry/2018/07/20/080000) 

 

このような研究開発への積極的な投資の効果もあり、5G分野において、ファーウェイは世界トップレベルの通信インフラ機器を生産する能力を持っていると言われています。

 

3.ファーウェイの生産工場

ファーウェイの生産工場では日本の5S運動やカイゼン活動が取り入れられており、日本企業並みの効率的な生産を行なっていると言われています。他の中国企業も同じですが、ファーウェイは日本の工場で長年働いていた日本人を高い給与で数年間雇用し、彼らから日本の生産ノウハウを徹底的に吸収することで日本の生産管理手法を完全に習得しています。

 

また、スマホの生産では最後の検収作業以外、ほぼ全ての工程で自動化が達成されており、生産の自動化は日本企業並みに進んでいます。

 

4.ファーウェイと日本企業との関係

 ファーウェイは多くの日本企業から部品や材料などを調達しており、日本では売上金額よりも調達金額の方が大きいと言われています。

 

 多くの日本の電子部品メーカーはファーウェイ向けに部材を提供しています。今後、米国政府のプレッシャーでファーウェイへの提供ができなくなってしまうと、これらの日本企業の業績は大きく悪化すると思われます。

 

 5.ファーウェイは本当にスパイ活動をしているのか?

 当然ながら、ファーウェイ職員はスパイ活動について完全否定しています。ただ、中国政府から機密情報の収集を指示されたらたとえ民間企業であっても中国企業は拒否できないでしょう。

 

 一方、元CIA職員のスノーデン氏が暴露した通り、アメリカ政府も通信企業などから機密情報を収集していることはほぼ確実であり、アメリカ政府と中国政府は両者ともファーウェイなどの企業を使って機密情報を収集しているのが実態だと思われます。

 

 アメリカ政府も中国政府やファーウェイを批判するならば、自分たちもスパイ活動を止めるのが筋でしょう。