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19年4月〜6月の決算から見て取れるアリババの有望性

みなさん、こんにちは。

 

8月15日にアリババが19年4月〜6月の決算を発表しました。決算の主要数値は以下の通りです。

 

1.全体

・売上高:1149億元(前年期比+42%)

・営業利益:243億元(+約204%)

 

2.ネット通販事業

・売上高:995億元(前年期比+44%)

・営業利益:350億元(+52%)

 

3.クラウド事業

・売上高:78億元(前年期比+66%)

・営業利益:−15億元(前年期は−21億元)

 

4.動画配信等のコンテンツ事業

・売上高:63億元(前年期比+6%)

・営業利益:−32億元(前年期は−43億元)

 

アリババのコアビジネスである2.ネット通販事業は売上高(+44%)、営業利益(+52%)ともに大幅に伸びています。中国市場ではEコマースにおいてアリババの一強体制が構築されつつあると言えるでしょう。

 

3.クラウド事業も売上高が+66%で大きく伸びています。中国のクラウド市場においてアリババはトップのシェアをとっています。営業利益はマイナスですが、今は売上げを伸ばすために採算度外視でやっているのでしょう。

 

中国におけるデータ発生量は年々増加しており、2025年頃にはEMEA(欧州、アフリカ及び中東)を抜いて世界トップになる見込みです。したがって、アリババのクラウド事業は今後まだまだ大きく伸びることが期待されます。

 

ちなみに、アマゾンはネット通販事業とクラウド事業の営業利益がほぼ同じです。アリババも将来的にクラウド事業の営業利益がネット通販事業と同じレベルまで大幅に増加する可能性が高いです。

 

更に、クラウド事業を通じて、アリババは様々な分野においてビッグデータを獲得することができます。現在、進行中である第4次産業革命では、ビッグデータが石油に代わり、社会活動やビジネス活動において必須のリソースになると言われています。アリババが中国におけるビッグデータを抑えるポジションにあることは非常に高く評価できます。

 

4.動画配信等のコンテンツ事業の売上高は+6%で微増です。5Gの到来でテレビもインターネットにつながり、動画視聴のニーズが大きく高まることが予想される中、アリババもコンテンツ事業に力を入れているのでしょう。ただし、中国のコンテンツ事業はライバルのテンセントが大きなシェアをとっています。正直、このセグメントにおいてテンセントからシェアを奪うことは難しいでしょう。

 

結論として、アリババはコアビジネスであるネット通販事業において、中国市場を独占しつつあり、今後も高い売上げ及び利益が期待されます。マーケティング用語で言うと、あまり費用をかけなくても莫大な利益をもたらしてくれるCash Cow(金を産む牛)が育ちつつあります。

 

一方、今後、高い利益が見込まれるクラウド事業も順調に成長しており、このまま行けば将来的には、ネット通販事業と同じ規模まで利益が拡大することが期待されます。マーケティング用語で言うStar(花形商品)も順調に育っています。

 

したがって、現在のアリババは既存ビジネス(ネット通販事業)、新規ビジネス(クラウド事業)が共に着実に成長している非常に理想的な状況にあると言えるでしょう。

 

最後にアリババの株価を確認したいと思います。以下のチャートが示す通り、8月15日の業績発表を受けてアリババの株価は急伸し、17日現在、1株174.6ドルをつけています。一方、株価収益率(PER)は30.39なので株価は比較的割安だと言えます(ちなみに現在のアマゾンの株価収益率は74.38でアリババより2倍以上も割高です)。現在、米中貿易摩擦の影響で全体的に株価は割安の状態です。

 

株価収益率を見る限り、現在、アリババの株は買い時だと思います。

 

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 参照先:SBI証券サイト