Mary Meeker氏のInternet Trends 2019について要約しました
みなさん、こんにちは。
本日はMary Meeker氏が19年6月に公表したInternet Trends 2019について要約したいと思います。
【Internet Trends 2019の原文(英語)】
https://www.bondcap.com/pdf/Internet_Trends_2019.pdf#search='internet+trend+2019'
Meeker氏は毎年Internet Trendsを公表しており、その内容はインターネット業界においてネットビジネスのトレンドを理解する上で必要不可欠なコンテンツと見なされています。今後、ITセクターに株式投資する上でも有益な判断材料になると思います。
なお、以下、赤字で記載しているパートは私の所見になります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・世界におけるスマホの出荷量は2016年がピーク。2017年、2018年は2年連続で減少。
・中国では約40%、インドでは50%の人口がまだインターネットにアクセスしていない。←中国、インドのネットビジネスは拡大の余地が大きい
・世界株式時価総額トップ30社の売上げの伸びは18年第4四半期が前期比+7%、19年第1四半期が前期比+2%。一方、ITセクターに限定した世界株式時価総額トップ30社の売上げの伸びは18年第4四半期が前期比+13%、19年第1四半期が前期比+11%。←ITメジャーの売上げの伸びは相対的に高い
・米国におけるEコマースの売上げの伸びは19年第1四半期が前期比+12.4%。一方、同じ時期の実店舗の売上げの伸びは+2.0%。小売全体に占めるEコマースの比率は15%。←アマゾンの米国市場における売上げは今後も着実に伸びる見込み
・南米、中国、東南アジア、インドなどはEコマースが急成長。←新興国は先進国に比べて実店舗が少ない分、Eコマースの発展が速い
・米国における広告市場は2010年時点でテレビが全体の43%、モバイルが0.5%。一方、2018年にはテレビが34%、モバイルが33%とほぼ拮抗。←2019年以降、広告市場においてモバイルがテレビを追い越す見込み
・米国では視聴時間において2018年にモバイルがテレビを追い越した。モバイルのプラットフォームで市場シェアを大きく伸ばしているのはYoutubeとInstagram。←2019年以降、本格的にネット動画やゲームがテレビからユーザーを奪っていく見込み
・アリババの電子決済サービスであるアリペイは10億人が利用しており、利用者は2年で倍増。←今後、電子決済がアリババの大きなマネタイズになる見込み
・インターネットの決済やバンキングサービスは韓国、欧州、南米でも急速に普及している。
・SNSではビデオの共有が急速に増えている。
・Instagramは単なる写真の共有サイトから、画像の商品を販売するEコマースサイトとして発展を始めている。←FacebookがEコマース分野でアマゾンの対抗馬になる可能性あり
・ゲーム分野ではインターネットで複数人が参加できるオンラインゲームが急速に普及している。
・2018年のクラウドサーバーの普及率は22%。一方、スマホやオンライン音楽サービスの普及率は60%以上。←アマゾン、マイクロソフト、グーグルのクラウドサービスの売上げは今後も着実に伸びる見込み
・消費者、企業、クラウドサービス提供者の管理するデータ量は2018年に企業のデータ量が消費者のデータ量を追い越し、2022年にクラウドサービス提供者のデータ量が企業のデータ量を追い越す見込み。←欧米などの先進国ではクラウドサービス大手のアマゾン、マイクロソフト、グーグルがこれからのマネタイズの源泉であるビッグデータを独占する見込み
・世界のデータ量における中国のシェアは一貫して上昇。2025年頃にはEMEA(欧州、中東及びアフリカ)を抜いて中国が世界最大のデータ発生地域になる見込み。←中国のビッグデータを独占するアリババ、テンセントが今後も大きく成長する可能性が高い
・19年1月の世界におけるソーシャルメディアの使用時間は前年期比+1%で成長がほぼストップ。プライバシーの問題やフェイクニュースの影響で多くのユーザーがソーシャルメディアの使用時間を抑えている。
・米国の失業率は17%(18年3月時点)から11%(19年3月時点)へ大幅に低下。一方、Uberのドライバーなどのオンデマンド・ワーカーは18年に660万にものぼり、その内、47%が元失業者。オンデマンド・ビジネスが失業者を大量に吸収し、米国の失業問題を解決している。
・米国のリモートワークの割合は全体の労働者の約5%(2016年時点)。SlackやGoogle Sheetなど様々なサービスがリモートワークの生産性を向上させている。
・米国は高等教育の学費高騰を背景に割安なオンライン教育が普及。
・米国では有望なテクノロジー企業の創業者の約60%が移民1世もしくは2世。←トランプの移民制限は米国の有望なスタートアップを減少させる可能性が高い