狙うはITグロース株 成長率の高いIT株を解説するブログ

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最も利益を生むビッグデータはフィンテック関連のデータ

みなさん、こんにちは。

 

最近、だいぶ落ち着いてきましたが、数年前、AIと並びビッグデータが非常にホットトピックでした。当時、「これからはビッグデータを持った企業がビジネスを制する」との論調がテレビや新聞でよくなされていたことを記憶しています。

 

個人的にこれからのビジネスにおいてビッグデータが非常に重要である点は同意しますが、ビッグデータでも莫大な利益を生むデータとあまり生まないデータがあると思います。それでは最も利益を生むビッグデータとはどんなデータでしょうか?私はフィンテック関連のデータ、つまりはお金の支払いに関するデータだと考えています。

 

お金の支払いに関してですが、もしあなたが、あらゆる人についていつ、どこで、何に対して、いくらお金を支払ったか完璧に知っていたらどう活用しますか?私だったらそのデータに基づき、購入される予定の商品を事前にピッタリの数準備して、それらの商品が購入される直前のタイミングで提供します。そうすればマーケティング費用や営業費用をかけず、更には在庫を持つことなく最大数の商品を短期間で売り切ることが可能です。更には、人気のトレンドについてもデータに基づきリアルタイムで正確に把握することもでき、人気の落ちた商品を無理に売ろうとして在庫を抱えたり、人気の高い商品を十分用意できず販売機会を逃すリスクを回避することができます。

 

また、お金の支払いに関するビッグデータを持っていれば、その人の支払い能力についても正確に把握することができるので、貸し倒れリスクが発生しない限界ギリギリまでお金を貸し出すことも可能です。元来、金貸しは利益率の高いビジネスですが(歴史をを振り返っても、金貸しは例外なく金持ちです。貧乏な金貸しなど存在しません。)、ビッグデータを活用すれば更にその利益率を引き上げることが可能になります。

 

このお金の支払いに関するビッグデータを積極的に活用しているのが中国のアリババです。アリババはアマゾンと同様、Eコマースを主力ビジネスにしていますが、アリペイと呼ばれる決済アプリも提供しており、多くの中国人がこのアリペイを使って日々の支払いをしています。そのため、中国では現金を使う機会がほとんどなくなってきています。

 

アリババはアリペイを通じて人々のお金の支払いに関するビッグデータを獲得し、それを活用して、個人にお金を貸し出しています。誰にいくら貸し出せるかはビッグデータに基づきシステムが組まれており、1秒未満のスピードで貸し出しが実施されているそうです。なお、貸し出しに関して全く人手はかかっておらず、銀行などに比べて1件の貸し出しにかかるコストは200分の1程度とのことです。

 

アリババのEコマースで商品を販売している日本企業の職員に聞いた話ですが、アリババはEコマースの販売自体で利益をあげるつもりはもはやなく、消費者が欲しい商品を最安値で紹介し、購入のためのお金を貸し出すことで、その利子で高い利益をあげようとしているとのことです。

 

アリババ以外でお金の支払いのビッグデータを持っているのはクレジットカード会社のビザとマスターカードです。特に米国はクレジットカード社会であり、ずっと前から人々は現金をほとんど使わず、何でもクレジットカードで支払いをしてきました。おそらくビザやマスターカードはアリババ以上にお金の支払いに関するビッグデータを蓄積しており、将来、そのデータを企業へ販売することで莫大な利益をあげることができると思います。

 

以上の理由から、私はアリババとビザ、マスターカードの将来性を高く評価しています。アリババのPER(注1)は53.13(19年4月17日時点)で、株価が高くてなかなか株を購入するタイミングがありませんが、35くらいまで低下すれば購入してもいいかなと考えてます。アリババはアマゾンと同様、株価が常に割高なのが悩ましいところです。。。

 

ビザとマスターカードはバンガードのVGT(情報技術ETF)の上位に組み入れられているため(ビザは金額ベースで全体の4.19%、マスターカードは3.6%を占めてます)、私はこれらの企業の個別株は買わず、VGTを大量保有することでこれらの企業へ間接的に投資しています。この点からもVGTへの投資は大変おすすめです。

 

注1:株価収益率。株価が1株あたりの純利益の何倍なのかを示す。