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これから日本で電子決済プラットフォームを支配する企業について

みなさん、こんにちは。

 

前回、2020年代にプラットフォームとして驚異的な発展が予測される電子決済について以下の記事を書きました。

itlover.hatenablog.com

 

今回は、日本市場において今後、電子決済プラットフォームを支配するであろう企業について考察したいと思います。

 

日本政府は2019年10月に消費税増税の対策として、クレジットカードやスマホ決済アプリなどを使って支払った際に5%のポイントを還元することを発表しており、現在、この波に乗るために様々な企業がスマホ決済アプリのビジネスに乗り出しています。

 

それでは現在、スマホ決済アプリのサービスを行なっている企業の中で生き残るのはどこになるでしょうか。私は資金力と営業力の双方を兼ね備えている企業が生き残ることになると考えています。

 

スマホ決済アプリで勝ち残るセオリーが非常に明確です。まず、大量のユーザー数を獲得し、そのユーザー数をアピールして決済が使える加盟店舗を増やしていくことです。これが軌道に乗れば、加盟店舗が増えるから、利用するユーザー数が更に増える好循環が発生して、一気にプラットフォームを支配できるようになります。

 

それでは、どうやったら大量のユーザー数を獲得できるかと言うと、ポイントや割引率を他社に比べて大きくすることに尽きます。はっきり言って、アプリの機能においてはどこもほとんど大差がない状況の中、大きな優位性を出すにはユーザーが支払う実質的な金額を他社よりも引き下げることが唯一の方法になってきます。これを可能にするため、引き下げ分のコストを負担できるだけの大きな資金力が必要になります。

 

また、多くのポイント付与や割引きを実施して、ユーザー数を大幅に増やした後、迅速に加盟店舗を増やさなければなりません。そのためには大量の営業スタッフを使って人海戦術的に候補となる店舗に対して一気に営業をかける必要があります。これを可能にするには、企業として既に大量の営業スタッフを抱えている必要があります。

 

私は上記の資金力、営業力を有している企業として有望なのはPayPayを提供するソフトバンク&ヤフー、楽天ペイを提供する楽天の2社だと考えております。両社とも既存ビジネスを通じて多額のキャッシュ及び営業スタッフを有しています。一方、LineやOrigamiなどはソフトバンク&ヤフー、楽天に比べて資金力が圧倒的に劣っており、ドコモなどは資金を持っているものの非常に保守的な会社などで、そこまで思い切りよく巨額投資に踏み切れないと考えています。

 

それでは、ソフトバンク&ヤフー、楽天が日本の電子決済プラットフォームを支配するかと言うと、話はそこまで単純でありません。

 

実は日本には電子決済において既に大量のユーザーを囲い込んでいる企業が存在します。それはSuica(発行先:JR東日本、発行枚数:約7000万枚)、PASMO(発行先:関東私鉄、発行枚数:約3400万枚)などのICカードを発行している鉄道会社です。働いている人の多くは定期券という形でこれらの企業のICカードを持っています。彼らはスマホ決済アプリを使用するようになっても、定期券としてICカードも併せて持ち続けるでしょう。

 

このような状況の中、ソフトバンク&ヤフー、楽天、主力鉄道会社が電子決済のビジネスで多くのユーザー数を獲得し、多くのユーザーの支払い履歴に関するデータを獲得することになるでしょう。そして、各自のデータを共有することで、日本市場における電子決済のビッグデータを抑えることになると思います。なぜなら、主力プレイヤーが複数社まで絞られれば、強者同士で激しく競争して消耗するよりも、協力して利益を分かち合った方が各社ともメリットが大きいからです。

 

電子決済のプラットフォームを支配する可能性を持っているこれらの企業はビジネスが日本市場に限られるとしても、莫大な利益を獲得することができるでしょう。そのため、これらの有望企業の株を購入すれば数年後に大きな利益をもたらす可能性は十分あると思います。

 

私自身、コアビジネスの通信事業の業績が堅調であり、今後、電子決済ビジネスでも支配的なポジションを獲得する可能性が高いソフトバンクへの投資は前向きに検討しています(ソフトバンクは配当金がかなり高いのも魅力だと思います)。