狙うはITグロース株 成長率の高いIT株を解説するブログ

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バフェット氏が投資したアマゾン株を私が購入しない理由

みなさん、こんにちは。

 

米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏でアマゾン株を購入することを発表しました。

 

バフェット氏はPER(株価収益率)が低い割安株(バリュー株)に投資することを基本スタイルとしています。そのため、今回、割高のアマゾン株を購入することに対して驚きの声が上がっています。

 

やはり、バフェット氏もインターネットの進化により社会や産業が激変する現在において、バリュー株のみへの投資では十分なリターンが得られなくなっていると考え、たとえPERが割高でも社会の重要なプラットフォームを支配しつつあるITメジャーへの投資は必要不可欠だと判断したのでしょう。

 

私も今の時代、ITメジャーへの投資は必要不可欠だと考えており、大手IT企業へ積極的に投資しています。ただし、色々と検討した結果、アマゾンへの投資は見送っています。

 

私がアマゾンに投資しない理由は以下の通りです。

 

1.PERが高すぎる

2019年5月6日時点、アマゾンのPERは81.91。アップル(17.81)、グーグル(29.84)、フェイスブック(29.01)より格段に高いですし、同業のアリババ(55.82)よりもかなり高めです。

 

正直、ここまで高すぎると決算発表時に売上高や営業利益がアナリストの期待値を下回った際の反動が怖くて、個人的には投資ができません・・・

 

2.今後、クラウドサービスで競合他社に追いつかれるリスクがある

アマゾンはEコマースとクラウドサービス(AWS)が二大収益源で、19年第1四半期の決算レポートを見ると、それぞれの数値は以下の通りです。

 

Eコマース

売上高:52,004百万ドル

営業利益:2,197百ドル

 

クラウドサービス

売上高:7,696百万ドル

営業利益:2,223百万ドル

 

売上高ではEコマースが圧倒してますが、営業利益はEコマースとクラウドサービスがほぼ同じです。

 

アマゾンとして、十分な営業利益を確保するためにはクラウドサービスで高いシェアを維持することが必須です。現在、アマゾンはこの分野で30%以上の世界シェアを維持しており、ダントツ1位の状況ですが、この分野ではマイクロソフトやグーグルなどが積極的に投資をしてキャッチアップを図っています。

 

私は5Gが普及して、インターネット上で高速大容量のやりとりが可能になると、クラウドサービスにおいてもコストや安全性にプラスして、クラウド上で利用できるAIシステムが非常に重要になってくると考えています。

 

AIシステムの開発競争において、アマゾンはマイクロソフトやグーグルに劣ると業界内では言われています。私は5Gが大企業にあらかた普及する2025年前後にはAIシステムで劣るアマゾンが競合他社にクラウドサービス分野においてシェアを大きく食われているリスクが十分あると考えてます。

 

3.今後、配達員の人件費コストが利益を圧迫してくるリスクがある

現在、アマゾンは倉庫内においてはロボットを大量導入して人件費コストを抑える努力をしています。一方、倉庫から顧客までの輸送は人手に頼っている状況です。

 

今後、アマゾンのEコマースが拡大するに従い、配達員不足が顕在化して、人件費が増加するリスクが非常に高いでしょう。

 

実際、日本においても2018年に宅配大手が人手不足を理由に料金値上げを決定し、同年3月以降、多くのEコマース業者が送料の値上げに踏み切りました。

 

アマゾンは将来的にドローンなどを活用して、倉庫から顧客までの配達も極力省人化したいと考えていますが、ドローンに搭載される電池の性能の問題などがあり、実用化は当分先(おそらく10年以上先)になると思われます。

 

4.電子マネーのプラットフォームを握れない

中国のEコマース最大手のアリババは自社のEコマースの決済手段としてアリペイを普及させることに成功し、今ではスマホのモバイル決済としても中国で広く普及しています。

 

現在、アリババはその購買データに基づき商品の販売のみならず資金貸付なども積極的に行うようになっています。

 

一方、アマゾンの場合、アメリカでクレジットカードが広く普及していたため、自社の決済システムを普及させることができず、購買データはビザやマスターカードなどのクレジットカード会社に代わりに握られてしまっています。

 

これから購買データに関するビッグデータが莫大な利益を生むと言われていますが、アマゾンとしてはこのデータを握れないのは非常に痛いと思います。

 

結論

グーグルやフェイスブックが提供する検索やSNSなどのサービスは全く新しいビジネスですが、アマゾンのEコマースは既存の実店舗と激しく競合するビジネスであり、そのため、アマゾンの発展に伴い、アメリカでは小売店舗の閉鎖ラッシュが続いています。そのようなインパクトの大きさが他のITメジャーと比較してアマゾンの印象をとりわけ強めていると思われます。

 

ただ、私は上記の理由からアマゾンの株価の上昇率は今がピークに近いと考えています。そのため、たとえバフェット氏が投資を決定したとしても、アマゾンへは投資しない予定です。