狙うはITグロース株 成長率の高いIT株を解説するブログ

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もはやITセクターでベンチャーがGAFAレベルまで成長することはないと思う

1990年代半ばにインターネットの普及が始まってから、アップル、グーグル、アマゾン、フェイスブックなどのIT企業は小さなベンチャーから世界時価総額トップクラスへ一気に成長しました。

 

それでは、これからもITセクターにおいて、小さなベンチャーが今のITメジャーに取って代わって次々と巨大化していくでしょうか?私はその可能性は低く、むしろ、これからは、今のITメジャーの寡占化がより一層強まっていくと考えています。

 

今のITメジャーが発展した1990年代半ば〜2000年代半ばはITベンチャーにとって非常に有利な環境でした。

 

例えば1994年に創業したアマゾンの場合、最初は書籍のネット販売を行なっていたものの、全米最大の書店チェーンであるバーンズ・アンド・ノーブルが本格的にネット販売に乗り出したら、直ぐに資金ショートして潰れてしまう状況にありました。

 

しかしながら、バーンズ・アンド・ノーブルは本業である実店舗ビジネスを維持するため、ネット販売に力を入れることができず、結果としてアマゾンの躍進を許してしまいました。

 

2001年にアップルがiPodを販売した時も、ソニーはiPodを作れる技術を持っていました。しかしながら、音楽部門(ソニーミュージック)が、ネットで楽曲を個別販売すると音楽部門の収益が落ちると反発し、さらにはハードウェア部門もインターネットビジネスに懐疑的であったため、iPodのような商品を販売することができませんでした。

 

このように、インターネットの普及期においては、バーンズ・アンド・ノーブルやソニーのような大企業は資金的にも技術的にもITベンチャーを圧倒していたにも関わらず、既存ビジネスや組織力学の都合でインターネットビジネスに上手く乗り出すことができず、アマゾンやアップルの成長を指をくわえて眺めざるを得ませんでした。

 

また、2000年代半ばまでは、大きく成長したIT企業でさえも、資金的な制約から、ITベンチャーの躍進を許してしまうことがありました。

 

2004年にフェイスブックがSNSを開始した際、グーグルは同様のSNSサービスをすでにローンチしていました。しかしながら、当時のグーグルはまだまだ資金力が乏しく、自社のSNSサービスに十分なサーバー容量を割くことができませんでした。その結果、アクセス速度が遅いグーグルのSNSサービスからユーザーがどんどん流出していき、フェイスブックの躍進を許してしまいました。

 

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ただし、現在、状況は大きく変わりました。2019年時点でグーグル、アップル、アマゾン、フェイスブックなどのITメジャーはITビジネスに対する先見性はもちろんのこと、あらゆるビジネスに乗り出すだけの資金力を持っています。

 

これらのITメジャーは、かなり早い段階から、将来伸びる可能性があるIT分野について、多額の投資をして、自社でサービス開発を行なったり、有望なITベンチャーの買収をしてしまいます。まさにフェイスブックがインスタグラムを買収したのがいい例です。

 

また、これらのITメジャーは莫大な資金を投資して大規模なサーバーをすでに構築しています、したがって、新しいインターネットビジネスに乗り出す際に、それを支えるインフラも十分確保できています。もはや昔のように有望なビジネスに十分なサーバー容量を割り当てられず、みすみすビジネスの機会を逃してしまうことはないでしょう。

 

更に、グーグル、アップル、アマゾン、フェイスブックはビッグデータを独占しています。現在、AIシステムを開発するITベンチャーが次々と立ち上がっていますが、これらのベンチャーはAIシステムを開発するにあたり、どうしてもビッグデータが必要になります。そのため、ビッグデータを有するITメジャーへ依存が避けられない状況にあります。

 

上記の通り、グーグル、アップル、アマゾン、フェイスブックは①新しいITビジネスに対する先見性、②十分な資金力、③AIベンチャーを引き寄せるビッグデータを全て持っています。

 

そのため、これらのITメジャーはあらゆる産業がインターネットによって再定義されてくる中、様々な産業において高い利益を獲得するようになるとともに、これから次々に出てくる有望ベンチャーを吸収・支配する形でますます巨大化していくでしょう。

 

私が、ITメジャーに集中的に投資する理由はまさにそこにあります。