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中国メーカーがアップルを追い越し世界を席巻する未来は確実に来ると思う

みなさん、こんにちは。

 

現在、中国ではハイテク産業が急速に発展しています。

 

以前、以下のブログでも説明した通り、顔認証AIにおいて中国はすでにアメリカを追い越し世界で突出した性能を有していると言われています。

itlover.hatenablog.com

 

実は顔認証AI以外でも中国がすでにアメリカを凌駕しつつあるハイテク分野が他にもあります。それは情報通信機器です。

 

例えば、通信事業者向け通信設備は中国のファーウェイ、欧州のノキアエリクソンの3社が世界3強と呼ばれています。

 

ファーウェイはトランプ政権によるファーウェイ製品の排除活動により世界シェア2位に転落してしまいましたが、それまで世界トップでした。

 

特に5G向けの通信設備についてはファーウェイはエリクソンノキアよりも価格が安く、品質も同等もしくは優れていると業界内では言われています。日本の通信事業者もこれから5G向け通信インフラを整備するにあたり、本心ではファーウェイの製品を積極的に使いたいと考えているでしょう。

 

また、スマホにおいても中国メーカーは躍進しており、2018年時点で世界シェア1位は韓国のサムスン、2位はアメリカのアップルですが、3位、4位、5位は中国のファーウェイ、小米、OPPOがランクインしています。

 

現在、サムスンもアップルもスマホの売上げが減少傾向なので、あと10年もすれば上位は全て中国メーカーが占めている可能性が高いと思います。

 

中国メーカーが情報通信機器分野で躍進している一番の理由は、中国が他国に比べて突出したこの分野における多種多様な部品のサプライチェーンを構築しているからです。

 

中国は1978年に改革開放政策を開始し、広東省福建省など一部の地域に限定して外資の進出を認めました。その結果、香港、台湾、日本などから工場が移転し、今の中国の経済発展のきっかけとなりました。

 

1990年頃からはコンピューター分野において外資の工場進出が始まりました。95年のウインドウズ95の発表を契機に一般家庭向けにパソコンの普及が進みましたが、当時、多くのパソコンメーカーが中国の大規模工場でパソコンを大量生産して世界中に出荷していました。

 

一方、アップルなどは開発のみに集中し、自社で生産は行いませんでしたが、代わりに台湾メーカーのフォックスコンが中国の工場でアップル製品の受託生産を行なってきました。ちなみに、フォックスコンの中国工場は数十万人が働いており、まさに一つの街のような規模で超大量生産が行なわれています。

 

このように、様々なメーカーが中国で大規模に生産を行うことにより、その周辺に多種多様な部品メーカーの工場も集積することになり、結果として世界で突出したサプライチェーンが構築されることになりました。

 

特に情報通信機器分野は中国の広東省珠江デルタに集積されており、ここではPC、タブレットスマホ、ドローンなど様々なハイテク製品が生産されています。上述のファーウェイ、OPPO珠江デルタで設立された企業です。またドローンで世界シェアトップのDJIも同様に珠江デルタ発祥です。

 

サプライチェーンは生産に必要不可欠ですが、実は商品開発においても非常に重要な役割を果たします。

 

例えば最新のスマホを開発する場合、様々な部品を試行錯誤しながら組み合わせていくことになります。

 

中国の場合、開発で使う部品を取り寄せようとすると1日以内であらゆる部品が入手できると言われています(珠江デルタ深センなら早い場合30分以内で入手できるそうです)。

 

一方、アメリカのシリコンバレーで開発する場合、多くの部品は中国から取り寄せないとならないためどうしても入手までに時間がかかってしまいます。

 

開発とは無数のトライアンドエラーを繰り返しながら進めていきますので、あらゆる部品をすぐ入手でき、このサイクルを最速で進められる中国企業の開発力が他国の企業を徐々に凌駕していくのは当然の結果だと思います。

 

また、中国企業は外国企業に比べて、中国に無数にある部品メーカーの品質や価格をより深く把握することができます。そのため、より高品質で低コストの部品を調達することができます。ファーウェイの通信設備がノキアエリクソンに比べて低価格にも関わらず品質がいい理由もここにあります。

 

もともと中国で情報通信機器分野のサプライチェーンが構築されることになったのはアップルや外国企業が中国でこの分野の生産を大規模に実施したためです。この点では外国企業が皮肉にも中国企業の躍進の基礎を作ってしまったと言えるでしょう。

 

今後、5Gの普及に伴い様々なIoTハードウェアが市場に出てくると言われていますが、その商品の多くが中国メーカー製になるでしょう。グーグルやマイクロソフトはこれら中国メーカーのハードウェアにOSを提供することで相互発展を図れる可能性が高いと思います。

 

一方、アップルの場合、iPhoneなどのハードウェアが売りなので、中国メーカーと真っ向から競合することになり、これから苦しくなってくると個人的には考えています。