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米中貿易摩擦で影響を受ける企業について

みなさん、こんにちは。

 

ゴールデンウイーク終盤、トランプ大統領が「中国に追加関税かけるぞ」とツイートしたことで顕在化した米中貿易摩擦問題ですが、今のところ米国株式市場は以下のS&P500の指数が示す通り大暴落は起きていない状況です。

 

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出典:グーグル

 

先週、株価が一時的に下落したタイミングで私はVGTのETFフェイスブックの個別株を購入しました。特にフェイスブックは最近、高値が続いており、なかなか買うタイミングがなかったため、今回の株価の一時的下落はラッキーでした。

 

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 出典:グーグル 

 

私は今後、米国が中国の全ての輸入品に25%の高関税をかける可能性は低いと予想しています。ただし、その予想が外れて、全ての商品に高関税がかけられて米国株式市場が大暴落するシナリオにも備えて、VGT、フェイスブックマイクロソフト、アリババのETF、個別株に対して今の株価から15〜20%ほど安い値段で買い注文を指値で継続的に入れておこうと考えています。

 

さて、今回の米中貿易摩擦問題の影響を最も強く受ける企業はどこでしょうか。それは中国で高い売上を上げている米国企業です。

 

中国で高い売上を上げている米国企業は主にメーカー(例:GE、GM、フォード、アップル)、一般消費財(例:NIKE)、飲食(例:スタバ、マクド)、小売(例:ウォルマート)などの大手企業が該当すると思います。

 

近年、これらの米国企業は中国企業のキャッチアップを受けて、ただでさえ中国市場での売上げが鈍化しています(例えばスタバはラッキンコーヒーという中国企業にシェアを急速に奪われてきています)。

 

今回の米中貿易摩擦問題が深刻化して、中国で米国商品の不買運動が活発化した場合、これらの米国企業の業績が大きく悪化するリスクが高いと思います。

 

また、クアルコムインテルなどの半導体企業も長期的に影響を受ける可能性が高いです。今回の米中貿易摩擦問題を契機に、中国政府が短期的には米国と共に高い技術力を有する欧州の半導体企業(例:ARM)を積極的に優遇して、米国製の代替として調達するとともに、長期的には中国企業に技術力をつけさせて、国産化を達成する可能性があります。

 

実際、中国は海外から半導体を大量輸入している現状を問題視しており、国内半導体メーカーの育成に積極的になっています。今回の米中貿易摩擦問題を契機に国内半導体メーカが躍進することになる場合、将来的にクアルコムインテルの業績は大幅に悪化するでしょう。株式市場でもそのような予想のもと、例えば、インテルの株価は以下のチャートが示す通り最近大きく落ち込んでいます。

 

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出典:グーグル 

 

今回の米中貿易摩擦問題は単なる貿易の問題ではなく、背景に米中の経済覇権の激しい奪い合いがあるため、簡単には解決せず、数年(長い場合は10年以上)は続く可能性が高いです。そのため、私は上記のような中国市場に深く入り込んでいる米国企業への投資は控えようと考えています。

 

一方、ITサービス分野については、そもそも中国市場において自由にビジネスができず、そのため、中国市場からの利益がほとんど出ていません。

 

例えばグーグルやフェイスブックは中国で検索サービスやSNSを提供できていません。アマゾンも中国ではアリババのプラットフォーム上で米国商品の販売を細々と行なっているだけで、最近ではその事業すら撤退することを検討しているようです。

 

また、中国のITメジャーであるアリババやテンセントも逆にアメリカ市場ではほとんどビジネスをしていません。

 

そのため、このような米中のITメジャーは今回の米中貿易摩擦問題が原因で業績が悪化することはなく、長期的には株価への影響もほとんどないと思います。