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2020年代にAIが抜本的に変革するのはモビリティ、企業の生産・販売プロセス、医療の3分野

みなさん、こんにちは。

 

以下の記事に書いた通り、今後、AIにより高精度の乗車予測と自動運転が実現されると、人々は車を保有することを放棄し、代わりに配車サービスを日常的に利用することになるでしょう。

 

また、電子決済の普及により、人々の購買データが蓄積されていくと、AIがその購買データを学習することで、高精度の販売予測が立てられるようになり、その結果、企業はその販売予測に基づいて、在庫を持たずに必要な数量の商品を生産・販売するようになるでしょう。

 

itlover.hatenablog.com

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2020年代にAIにより抜本的に変革する分野は上記のモビリティ、電子決済に基づく企業の生産・販売プロセス以外に医療が挙げられます。今回はこの医療について詳細に説明していきます。

 

現在、大量のレントゲン画像のデータを学習させることで、初期のガンなどを的確に見つけ出せるAIの開発が進んでいます。AIは異常画像を検知する能力が人間よりもはるかに優れているため、将来、AIがレントゲン画像の一次診断を行うことが一般的になっているでしょう(もちろん、一次診断で異常と出たレントゲン画像の最終判断は医者がするとは思いますが)。

 

画像診断以外でAIの活用が期待されているのが血液解析です。現在の血液解析ではコレステロール値や中性脂肪など限られた分野しか解析ができません。しかしながら、血液中には様々な臓器やがん細胞が分泌する化学物質が含まれているらしく、その化学物質を適切に検知できれば、微量の血液を採取するだけで身体全体の状態を把握できるようになると言われています。

 

血液による身体全体の異常検知はまだ試験段階ではありますが、もしこれが実用化されれば医療分野は抜本的に変革することになるでしょう。

 

例えば、微量の血液を採取することで、ガンなどの病気を初期段階で適切に検知できるようになれば、毎週、血液採取をして身体の状況を詳細にチェックすることが可能になります(微量の血液採取だけならば、人間ドックに比べて、圧倒的に低価格且つ手軽に実施することができるので)。そうすれば、様々な病気を初期の段階で検知することが可能になり、患者が助かる確率が飛躍的に高まるとともに、大掛かりな手術や投薬治療をする必要性もなくなってくるでしょう。

 

まさに、AIが人々の健康寿命を大きく引き上げるとともに医療コストを大きく引き下げることになります。

 

私の予測ですが、50年後の未来では、人々が自宅や近くのコミュニティセンターで定期的に微量の血液採取をすることが一般化し、それにより病気にならず(風邪や花粉症にはかかるかもしれませんが)、100歳近くまで健康を維持することがごくごく当たり前になっていると思います。余談ですが、50年後ならば再生医療も実用化フェーズに入っているでしょうから、高齢化で機能が衰えた身体のパーツ(臓器や目など)をiPS細胞を成長させて作ったクローンのパーツに交換することも当たり前になっているかもしれません。

 

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現在、様々なITメジャーやベンチャーが医療分野におけるAI開発を積極的に行っていますが、どの企業がどれほど開発が進んでいるかはよくわかりません。。。開発で利用される医療データは非常に高いプライバシー保護が求められるため、各社とも徹底的に情報を外部に出さずに細心の注意を払って開発を進めているためです。

 

ただし、個人的には医療分野では中国企業が今後大きく伸びる可能性が高いと考えています。通常、先進国では患者の医療データは、本人が特定されないよう匿名加工することが求められます。莫大なデータを一つ一つ匿名加工を施すのは非常に手間とコストがかかる作業になります。

 

一方、個人のプライバシー権利があまり重要視されていない中国ではこのような匿名加工をせずに患者の医療データをそのまま利用できると言われています。その結果、中国企業は他の企業に比べて、コストをかけずに迅速に大量の医療データを使ってAI開発を進めることができます。この点における中国企業のアドバンテージは非常に大きいと言えます。

 

現在、中国ではアリババとテンセントが有望な国内ベンチャーへ出資して、積極的に自社に取り込んでいます。したがって、今後、医療AIを開発している有望な中国ベンチャーもアリババかテンセントの傘下に入ってくる可能性が高いでしょう。このような観点からアリババやテンセントへ投資することを検討してもいいと思います。