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ギグ・エコノミーについての考察

みなさんは、ギグ・エコノミーという言葉を聞いたことはありますか?

 

ギグ・エコノミーとはインターネットで単発の仕事を請け負う働き方を指します。ちなみにギグとは英語のスラングでライブハウスやクラブでの一度限りの演奏のことです。Uberの運転手、Airbnbの部屋貸し、クラウドソーシングの作業受託などは全てギグ・エコノミーに含まれます。

 

現在、米国ではギグエコノミーが急成長しており、2018年時点で米国の660万人がギグ・エコノミーに携わっていると言われています。

 

これまで企業は情報の非対称性(=相手がどんな人間かよくわからないこと)や取引コスト(=企業が望む能力を持つ相手を探すコストや、相手が金を持ち逃げしないよう契約を締結したりするコスト)などのため、多くの社員を抱えて、大半の仕事は彼らにやらせていました。

 

しかし、インターネットの普及に伴い、適切な能力を持つ外部人材を簡単に見つけ出すことができるようになり、更にはその人材の信頼性についてもこれまでの評価などに基づいて容易に確認できるようになりました。

 

おそらく、ギグ・エコノミーはこれから益々拡大していき、多くの人々が副業もしくは専業としてインターネットを通じて単発の仕事を請け負うことになるでしょう。

 

一方、企業としては大量の社員を抱え込む必要がどんどんなくなってくるため、一企業あたりの社員数はこれからどんどん減っていくと思います。実際、45歳前後の社員の早期退職を積極的に進める日本企業が最近増えていますが、多くの日本企業では、抱えている社員の数ほど社内に仕事がなくなってきているのかもしれません。

 

アリババの創業者のジャック・マーは「インターネットの普及が進むと、仕事も含めてあらゆる物がネット上で取引されるようになるため、大企業がどんどん消滅していき、代わりにマイクロ企業や個人経営者が経済活動の主流になるだろう。」と言っていましたが、確かに現在、そのトレンドが強まってきていると思います。

 

ギグ・エコノミーは人々の働き方を柔軟にするメリットがあると思います。しかしながら、収入が大きく変動するデメリットもあります。やはり、単発の仕事がメインだとどうしても生活が不安定になるリスクが高まってしまいます。

 

更に、ギグ・エコノミーで働く人々は会社の社員ならば受けられた様々な社会保障(手厚い年金や医療保険など)が受けられません(本来ならば生活が不安定な単発の仕事を請け負う人々ほど手厚い社会保障が必要なのですが・・・)。

 

おそらく、この社会保障の問題を解決するため、将来的にはギグ・エコノミーにおいてプラットフォームを提供するIT企業(Uber、Airbnbなど)は仕事を請け負う人々に対して社会保障を提供する義務を課せれることになると思います。そうなると財政基盤がしっかりした企業しかプラットフォームを維持できなくなる可能性が高いでしょう。

 

ギグ・エコノミーについてつらつらと書いてきましたが、結果として私が言いたかったことは以下の二点です。

 

1.ギグ・エコノミーが拡大していくと、プラットフォーマー以外の大企業はどんどん減っていき、代わりにマイクロ企業や個人経営がメインになってくると思われる。

 

2.ギグ・エコノミーの拡大により、単発の仕事を請け負う個人経営者がどんどん増えていくと、プラットフォーマーがそれらの個人経営者に対して社会保障を与える義務が課せられる可能性が高い。結果、強固な財政基盤をもつ少数のプラットフォーマーのみが生き残り、プラットフォームビジネスの寡占化が進む可能性が高い。

 

やはり、あらゆる面でプラットフォームを握るITメジャーの寡占化は進んでいくと思われます。