狙うはITグロース株 成長率の高いIT株を解説するブログ

IT企業で長年働くリーマンがIT企業のビジネスやトレンド等について発信します。

香港デモ騒動の背景について

現在、香港では大規模な反中国デモが起きています。今週、デモ参加者が香港国際空港を閉鎖し、多くのフライトが欠航となる事態も発生しました。

 

今回のデモは香港政府が検討を進める「逃亡犯条例」の改正案の撤回を要求して行われました。改正案では容疑者の中国本土への移送を可能にする内容となっており、デモ参加者は、中国に反抗的な香港市民が中国本土へ不当に送られることに懸念を示しています。

 

ただし、今回の改正案は一つのきっかけに過ぎません。近年、中国の香港への影響力が強まっており、まさにそれこそが香港で頻繁にデモが起きている真の原因だと言えます。

 

日本のニュースを見ていると、香港人の大半が反中国的な考えを持っているかのように映りますが、実際には立場によって香港人の考え方は大きく異なります。私は以前、中国に住んでおり、中国人、香港人から各自の立場について聞く機会が多かったので、今回はこの点についてわかりやすく説明したいと思います。

 

まず、香港の多くの若者(主に大学生)は反中国的な考えを持っています。現在、香港は経済が停滞しており、彼らは卒業後にきちんとした仕事に就ける保証がありません。その不満のはけ口としてデモ活動を行なっていると言われています。また、若者は自由な言動を好み、それを制約してくる中国政府に対して反感を持っています。やはり、いつの時代でも若者は自由を好みます。

 

一方、香港の中高年(公務員、サラリーマン、自営業者など)の大半は、デモ活動には参加していません。彼らは本心では「現在の中国の経済発展があるのは、1980年代に中国政府が改革開放を実施した際、多くの香港のビジネスマンが工場を香港から中国本土へ移して、中国へ貢献したためだ。」と考えています。しかしながら、現在、香港政府や香港企業は、中国政府や中国市場に深く依存しており、親中的な考えを示さないと存続できません。また、自営業者についても中国本土からやってくる観光客が積極的に買い物をしてくれることで生計が成り立っているため、中国に対して悪口は言えません。そのため、多くの中高年は自分の仕事を守るために少なくとも表面的には中国政府に従う態度を示しています。まさに日本のサラリーマンが会社に対して表面的に忠誠を誓うのと同じ構造です。

 

最後に中国人の考えですが、彼らの多くは反発的な香港人に対して快く思っていません。中国人は香港人に対して「せっかく英国の植民地から脱却して、中国に返還されたのに何が不満なんだ。しかも、1国2制度を設けて、かなり香港に配慮してやっているのに。」「もはや、中国は香港を経済的にも追い越し、香港は中国に食べさせてもらっているんだ。その現状を素直に認めろ。」といった考えを持っています。

 

私の推測ですが、香港の中国への経済的依存が強まる中、中国人の意を受けた中国政府が親中の香港人を使って、これからも制度的にも経済的にも、香港の中国への統合を進めていくでしょう。親中の香港人は行政やビジネスにおいて社会的地位の高い人たちが多いのでどんなに香港の若者が反発したところでその流れを変えることはできないと思います。

 

ちなみに私は香港株式市場に上場している中国企業には投資をしていません。それは香港の中国への統合が進む中、香港ドルの取り扱いがどうなるかよくわからないからです。

 

現在、香港では米ドルにペッグされている香港ドルが公的通貨として使われており、香港株式市場へ上場している企業の株式を購入する際にも香港ドルで購入する必要があります。

 

しかしながら、今後、香港の中国への統合が進む過程で、香港ドルが廃止になり、中国元に強制切り替えになる可能性もゼロではないと思います。また、その際の切り替えレートによっては資産が大きく目減りする可能性もあるでしょう。中国政府は個人の反発を無視してドラスティックな改革をよくするので。。。

 

香港株式市場に上場しているテンセントや中国平安保険はAIの開発などを積極的に行なっており、投資先としては結構有望だとは思うのですが、今後の香港の状況を考えるとなかなか投資はできないと考えています。

Mary Meeker氏のInternet Trends 2019について要約しました

みなさん、こんにちは。

 

本日はMary Meeker氏が19年6月に公表したInternet Trends 2019について要約したいと思います。

 

【Internet Trends 2019の原文(英語)】

https://www.bondcap.com/pdf/Internet_Trends_2019.pdf#search='internet+trend+2019'

 

Meeker氏は毎年Internet Trendsを公表しており、その内容はインターネット業界においてネットビジネスのトレンドを理解する上で必要不可欠なコンテンツと見なされています。今後、ITセクターに株式投資する上でも有益な判断材料になると思います。

 

なお、以下、赤字で記載しているパートは私の所見になります。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ・世界におけるスマホの出荷量は2016年がピーク。2017年、2018年は2年連続で減少。

 

・中国では約40%、インドでは50%の人口がまだインターネットにアクセスしていない。←中国、インドのネットビジネスは拡大の余地が大きい

 

・世界株式時価総額トップ30社の売上げの伸びは18年第4四半期が前期比+7%、19年第1四半期が前期比+2%。一方、ITセクターに限定した世界株式時価総額トップ30社の売上げの伸びは18年第4四半期が前期比+13%、19年第1四半期が前期比+11%。←ITメジャーの売上げの伸びは相対的に高い

 

・米国におけるEコマースの売上げの伸びは19年第1四半期が前期比+12.4%。一方、同じ時期の実店舗の売上げの伸びは+2.0%。小売全体に占めるEコマースの比率は15%。←アマゾンの米国市場における売上げは今後も着実に伸びる見込み

 

・南米、中国、東南アジア、インドなどはEコマースが急成長。新興国は先進国に比べて実店舗が少ない分、Eコマースの発展が速い

 

・米国における広告市場は2010年時点でテレビが全体の43%、モバイルが0.5%。一方、2018年にはテレビが34%、モバイルが33%とほぼ拮抗。←2019年以降、広告市場においてモバイルがテレビを追い越す見込み

 

・米国では視聴時間において2018年にモバイルがテレビを追い越した。モバイルのプラットフォームで市場シェアを大きく伸ばしているのはYoutubeInstagram←2019年以降、本格的にネット動画やゲームがテレビからユーザーを奪っていく見込み

 

・アリババの電子決済サービスであるアリペイは10億人が利用しており、利用者は2年で倍増。←今後、電子決済がアリババの大きなマネタイズになる見込み

 

・インターネットの決済やバンキングサービスは韓国、欧州、南米でも急速に普及している。

 

SNSではビデオの共有が急速に増えている。

 

Instagramは単なる写真の共有サイトから、画像の商品を販売するEコマースサイトとして発展を始めている。FacebookがEコマース分野でアマゾンの対抗馬になる可能性あり

 

・ゲーム分野ではインターネットで複数人が参加できるオンラインゲームが急速に普及している。

 

・2018年のクラウドサーバーの普及率は22%。一方、スマホやオンライン音楽サービスの普及率は60%以上。←アマゾン、マイクロソフト、グーグルのクラウドサービスの売上げは今後も着実に伸びる見込み

 

・消費者、企業、クラウドサービス提供者の管理するデータ量は2018年に企業のデータ量が消費者のデータ量を追い越し、2022年にクラウドサービス提供者のデータ量が企業のデータ量を追い越す見込み。←欧米などの先進国ではクラウドサービス大手のアマゾン、マイクロソフト、グーグルがこれからのマネタイズの源泉であるビッグデータを独占する見込み

 

・世界のデータ量における中国のシェアは一貫して上昇。2025年頃にはEMEA(欧州、中東及びアフリカ)を抜いて中国が世界最大のデータ発生地域になる見込み。←中国のビッグデータを独占するアリババ、テンセントが今後も大きく成長する可能性が高い

 

・19年1月の世界におけるソーシャルメディアの使用時間は前年期比+1%で成長がほぼストップ。プライバシーの問題やフェイクニュースの影響で多くのユーザーがソーシャルメディアの使用時間を抑えている。

 

・米国の失業率は17%(18年3月時点)から11%(19年3月時点)へ大幅に低下。一方、Uberのドライバーなどのオンデマンド・ワーカーは18年に660万にものぼり、その内、47%が元失業者。オンデマンド・ビジネスが失業者を大量に吸収し、米国の失業問題を解決している。

 

・米国のリモートワークの割合は全体の労働者の約5%(2016年時点)。SlackやGoogle Sheetなど様々なサービスがリモートワークの生産性を向上させている。

 

・米国は高等教育の学費高騰を背景に割安なオンライン教育が普及。

 

・米国では有望なテクノロジー企業の創業者の約60%が移民1世もしくは2世。←トランプの移民制限は米国の有望なスタートアップを減少させる可能性が高い

これから日本で電子決済プラットフォームを支配する企業について

みなさん、こんにちは。

 

前回、2020年代にプラットフォームとして驚異的な発展が予測される電子決済について以下の記事を書きました。

itlover.hatenablog.com

 

今回は、日本市場において今後、電子決済プラットフォームを支配するであろう企業について考察したいと思います。

 

日本政府は2019年10月に消費税増税の対策として、クレジットカードやスマホ決済アプリなどを使って支払った際に5%のポイントを還元することを発表しており、現在、この波に乗るために様々な企業がスマホ決済アプリのビジネスに乗り出しています。

 

それでは現在、スマホ決済アプリのサービスを行なっている企業の中で生き残るのはどこになるでしょうか。私は資金力と営業力の双方を兼ね備えている企業が生き残ることになると考えています。

 

スマホ決済アプリで勝ち残るセオリーが非常に明確です。まず、大量のユーザー数を獲得し、そのユーザー数をアピールして決済が使える加盟店舗を増やしていくことです。これが軌道に乗れば、加盟店舗が増えるから、利用するユーザー数が更に増える好循環が発生して、一気にプラットフォームを支配できるようになります。

 

それでは、どうやったら大量のユーザー数を獲得できるかと言うと、ポイントや割引率を他社に比べて大きくすることに尽きます。はっきり言って、アプリの機能においてはどこもほとんど大差がない状況の中、大きな優位性を出すにはユーザーが支払う実質的な金額を他社よりも引き下げることが唯一の方法になってきます。これを可能にするため、引き下げ分のコストを負担できるだけの大きな資金力が必要になります。

 

また、多くのポイント付与や割引きを実施して、ユーザー数を大幅に増やした後、迅速に加盟店舗を増やさなければなりません。そのためには大量の営業スタッフを使って人海戦術的に候補となる店舗に対して一気に営業をかける必要があります。これを可能にするには、企業として既に大量の営業スタッフを抱えている必要があります。

 

私は上記の資金力、営業力を有している企業として有望なのはPayPayを提供するソフトバンク&ヤフー、楽天ペイを提供する楽天の2社だと考えております。両社とも既存ビジネスを通じて多額のキャッシュ及び営業スタッフを有しています。一方、LineやOrigamiなどはソフトバンク&ヤフー、楽天に比べて資金力が圧倒的に劣っており、ドコモなどは資金を持っているものの非常に保守的な会社などで、そこまで思い切りよく巨額投資に踏み切れないと考えています。

 

それでは、ソフトバンク&ヤフー、楽天が日本の電子決済プラットフォームを支配するかと言うと、話はそこまで単純でありません。

 

実は日本には電子決済において既に大量のユーザーを囲い込んでいる企業が存在します。それはSuica(発行先:JR東日本、発行枚数:約7000万枚)、PASMO(発行先:関東私鉄、発行枚数:約3400万枚)などのICカードを発行している鉄道会社です。働いている人の多くは定期券という形でこれらの企業のICカードを持っています。彼らはスマホ決済アプリを使用するようになっても、定期券としてICカードも併せて持ち続けるでしょう。

 

このような状況の中、ソフトバンク&ヤフー、楽天、主力鉄道会社が電子決済のビジネスで多くのユーザー数を獲得し、多くのユーザーの支払い履歴に関するデータを獲得することになるでしょう。そして、各自のデータを共有することで、日本市場における電子決済のビッグデータを抑えることになると思います。なぜなら、主力プレイヤーが複数社まで絞られれば、強者同士で激しく競争して消耗するよりも、協力して利益を分かち合った方が各社ともメリットが大きいからです。

 

電子決済のプラットフォームを支配する可能性を持っているこれらの企業はビジネスが日本市場に限られるとしても、莫大な利益を獲得することができるでしょう。そのため、これらの有望企業の株を購入すれば数年後に大きな利益をもたらす可能性は十分あると思います。

 

私自身、コアビジネスの通信事業の業績が堅調であり、今後、電子決済ビジネスでも支配的なポジションを獲得する可能性が高いソフトバンクへの投資は前向きに検討しています(ソフトバンクは配当金がかなり高いのも魅力だと思います)。

リターンの高いおすすめETF比較ランキング(19年8月10日時点)

みなさん、こんにちは。

 

8月10日時点での人気のETFについて1年間、2年間、3年間、5年間の平均リターンを算出して下の表にまとめました。

 

上位ランキングは以下の通りです。

 

【1年間の平均リターン】

1位 BIV:11.83%

2位 BND:9.66%

3位 VGT:9.15%

 

【2年間の平均リターン】

1位 VGT:22.10%

2位 SPXL:19.78%

3位 QQQ:14.85%

 

【3年間の平均リターン】

1位 SPXL:34.98%

2位 VGT:28.22%

3位 QQQ:20.70%

 

【5年間の平均リターン】

1位 SPXL:35.76%

2位 VGT:26.05%

3位 QQQ:20.71%

 

先週から米中貿易摩擦問題の再発により世界の株式市場は大幅な下落トレンドであるため、1年間の平均リターンではBIV(バンガード米国中期債券ETF)、BND(バンガード米国トータル債券市場ETF)が1位、2位を占めました。やはり株価が下落トレンドの時には債券の安定性が際立ちます。

 

現在、私は米国株式市場の大暴落は当分起きないと見込んで、債券に比べて期待リターンが高い株式だけで資産運用をしていますが、以下の記事に書いた通り2030年頃に起きるであろう大暴落に備え、2025年頃から徐々に債券のETF保有しようと考えています。

itlover.hatenablog.com

 

ちなみにITセクターのETFであるVGTは前回に比べて期待リターンは大きく下がったものの、他の株式関連のETFに比べて圧倒的に高いリターン(1年間のリターン:9.15%)を出しています。

 

ITセクターは株価の変動幅が非常に大きく、下落時には大きく値が下がるイメージがありますが、実際のところ、株式市場の下落局面でも他のETFに比べて高値を維持していることが以下の表からわかります。

 

注1:リターンの数値はSBI証券サイト(https://www.sbisec.co.jp/ETGate)を参照

注2:順位は1年間の年率リターンの高い順

注3:年率リターンは分配金再投資後の数値

順位

コード

ファンド名

1年間の年率リターン

2年間の年率リターン

3年間の年率リターン

5年間の年率リターン

1

BIV

バンガード・米国中期債券ETF

11.83%

4.83%

3.15%

4.01%

2

BND

バンガード・米国トータル債券市場 ETF

9.66%

4.28%

2.85%

3.40%

3

VGT

バンガード・米国情報技術セクターETF

9.15%

22.10%

28.22%

26.05%

4

HDV

iシェアーズ コア米国高配当株 ETF

6.72%

8.04%

7.75%

9.58%

5

PFF

iシェアーズ 優先株式 インカム証券 ETF

4.34%

2.88%

2.91%

4.95%

6

VOO

バンガード・SP500 ETF

2.97%

10.57%

13.43%

13.03%

7

IVV

iシェアーズ・コア S&P 500 ETF

2.94%

10.57%

13.43%

13.01%

8

SPY

SPDR S&P 500 ETF

2.90%

10.49%

13.33%

12.92%

9

QQQ

インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET

2.06%

14.85%

20.70%

20.71%

10

VTI

バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF

1.90%

10.21%

13.11%

12.42%

11

VYM

バンガード・米国高配当株式 ETF

1.42%

7.08%

9.30%

10.49%

12

SPYD

SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF

1.10%

6.34%

7.45%

-

13

VHT

バンガード・ヘルスケアETF

0.95%

9.52%

10.00%

12.97%

14

TOK

iシェアーズ MSCI コクサイ ETF

0.28%

6.53%

10.74%

8.06%

15

VT

バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF

-1.54%

4.91%

9.62%

6.99%

16

VB

バンガード・スモールキャップ ETF

-3.86%

7.62%

10.33%

9.40%

17

VWO

バンガード・FTSEエマージング・マーケッツ ETF

-4.74%

-1.04%

4.96%

0.86%

18

SPXL

Direxion デイリー S&P 500 ブル3 ETF

-5.06%

19.78%

34.98%

35.76%

19

VEA

バンガード・FTSE先進国市場(除く米国) ETF

-5.92%

-0.42%

6.09%

2.59%

20

VGK

バンガード・FTSE・ヨーロッパ ETF

-6.03%

-1.09%

6.56%

1.81%

 

itlover.hatenablog.com

2020年代にAIが抜本的に変革するのはモビリティ、企業の生産・販売プロセス、医療の3分野

みなさん、こんにちは。

 

以下の記事に書いた通り、今後、AIにより高精度の乗車予測と自動運転が実現されると、人々は車を保有することを放棄し、代わりに配車サービスを日常的に利用することになるでしょう。

 

また、電子決済の普及により、人々の購買データが蓄積されていくと、AIがその購買データを学習することで、高精度の販売予測が立てられるようになり、その結果、企業はその販売予測に基づいて、在庫を持たずに必要な数量の商品を生産・販売するようになるでしょう。

 

itlover.hatenablog.com

itlover.hatenablog.com

 

2020年代にAIにより抜本的に変革する分野は上記のモビリティ、電子決済に基づく企業の生産・販売プロセス以外に医療が挙げられます。今回はこの医療について詳細に説明していきます。

 

現在、大量のレントゲン画像のデータを学習させることで、初期のガンなどを的確に見つけ出せるAIの開発が進んでいます。AIは異常画像を検知する能力が人間よりもはるかに優れているため、将来、AIがレントゲン画像の一次診断を行うことが一般的になっているでしょう(もちろん、一次診断で異常と出たレントゲン画像の最終判断は医者がするとは思いますが)。

 

画像診断以外でAIの活用が期待されているのが血液解析です。現在の血液解析ではコレステロール値や中性脂肪など限られた分野しか解析ができません。しかしながら、血液中には様々な臓器やがん細胞が分泌する化学物質が含まれているらしく、その化学物質を適切に検知できれば、微量の血液を採取するだけで身体全体の状態を把握できるようになると言われています。

 

血液による身体全体の異常検知はまだ試験段階ではありますが、もしこれが実用化されれば医療分野は抜本的に変革することになるでしょう。

 

例えば、微量の血液を採取することで、ガンなどの病気を初期段階で適切に検知できるようになれば、毎週、血液採取をして身体の状況を詳細にチェックすることが可能になります(微量の血液採取だけならば、人間ドックに比べて、圧倒的に低価格且つ手軽に実施することができるので)。そうすれば、様々な病気を初期の段階で検知することが可能になり、患者が助かる確率が飛躍的に高まるとともに、大掛かりな手術や投薬治療をする必要性もなくなってくるでしょう。

 

まさに、AIが人々の健康寿命を大きく引き上げるとともに医療コストを大きく引き下げることになります。

 

私の予測ですが、50年後の未来では、人々が自宅や近くのコミュニティセンターで定期的に微量の血液採取をすることが一般化し、それにより病気にならず(風邪や花粉症にはかかるかもしれませんが)、100歳近くまで健康を維持することがごくごく当たり前になっていると思います。余談ですが、50年後ならば再生医療も実用化フェーズに入っているでしょうから、高齢化で機能が衰えた身体のパーツ(臓器や目など)をiPS細胞を成長させて作ったクローンのパーツに交換することも当たり前になっているかもしれません。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

現在、様々なITメジャーやベンチャーが医療分野におけるAI開発を積極的に行っていますが、どの企業がどれほど開発が進んでいるかはよくわかりません。。。開発で利用される医療データは非常に高いプライバシー保護が求められるため、各社とも徹底的に情報を外部に出さずに細心の注意を払って開発を進めているためです。

 

ただし、個人的には医療分野では中国企業が今後大きく伸びる可能性が高いと考えています。通常、先進国では患者の医療データは、本人が特定されないよう匿名加工することが求められます。莫大なデータを一つ一つ匿名加工を施すのは非常に手間とコストがかかる作業になります。

 

一方、個人のプライバシー権利があまり重要視されていない中国ではこのような匿名加工をせずに患者の医療データをそのまま利用できると言われています。その結果、中国企業は他の企業に比べて、コストをかけずに迅速に大量の医療データを使ってAI開発を進めることができます。この点における中国企業のアドバンテージは非常に大きいと言えます。

 

現在、中国ではアリババとテンセントが有望な国内ベンチャーへ出資して、積極的に自社に取り込んでいます。したがって、今後、医療AIを開発している有望な中国ベンチャーもアリババかテンセントの傘下に入ってくる可能性が高いでしょう。このような観点からアリババやテンセントへ投資することを検討してもいいと思います。

米中貿易摩擦が米国株式市場へ与える影響について

みなさん、こんにちは。

 

先週、FRBが想定通り金利を引き下げたため、私はこれから株式市場は上昇トレンドが続くと判断してVGTのETFを1株213.5ドルで320万円分を購入しました。

 

ところが購入した数時間後、トランプ大統領が中国からのほぼ全ての輸入品に対して10%の関税をかけることをツイートし、それが原因でVGTの株価も以下の通り、大幅に下落してしまいました。。。。

 

f:id:ITlover:20190807214922p:plain

正直、こんな短期間で米中貿易摩擦の問題が再燃するとは思わなかったです。完全に想定外でした。。。やはり、トランプ大統領は常識では測れない人です。ここ1年間、世界の株式市場は彼のツイートに振り回されっぱなしです。。。

 

さて、今回は米中貿易摩擦が米国の経済や株式市場に与える影響について検討したいと思います。トランプ大統領は9月1日から中国からのほぼ全ての輸入品に10%の関税をかけると言っていますが、もし、それを実行した場合、米国のGDPは0.1〜0.2%引き下がると分析されています。

 

正直、0.1〜0.2%程度の落ち込みならば、FRB金利を引き下げれば米国経済を支えることは十分に可能です。米中貿易摩擦はニュースでは大々的に報じられていますが、米国のような先進国の大国は国内消費がGDPの主要素なので、貿易が経済に与える影響は非常に限定的であり、イメージほど大きなインパクトはありません。

 

一方、米国が金利を引き下げれば、これまでキャピタルフライトを恐れて金利を下げられなかった新興国が次々に金利引下げを追従し、結果的に世界におけるマネーサプライが大幅に増加することになるでしょう。そして、溢れたマネーの多くは株式市場へ流れて株価を押し上げる原動力になると思います。

 

結論として、私は今回の米中貿易摩擦は短期的には株価を大きく引き下げるものの、米国及び複数の新興国金利引き下げの効果によって、数ヶ月後には株価は上昇トレンドへ再び転じると考えています。

 

そのため、今回の株価の下落局面では積極的にVGTを買い増していこうと思います。

 

ただし、実体経済が悪くないのにマネーサプライを大幅に増やす行為は長期的にはバブルを生む要因になるでしょう・・・私は以下の記事で次の株式市場の大暴落は2030年頃だと予想していましたが、今の低金利がこれからもずっと続くならば2030年よりかなり前にバブルが弾けて、株式市場が大暴落する可能性が高まってくると思います。。。

itlover.hatenablog.com

 

2020年代に急拡大するプラットフォームについて(その2:電子決済プラットフォーム)

みなさん、こんにちは。

 

前回、2020年代に急拡大するプラットフォームとして配車アプリを中心としたモビリティ・プラットフォームについて以下の記事で詳細に説明しました。

itlover.hatenablog.com

 

本日は20年代に急拡大するもう一つのプラットフォームとしてスマホ決済を中心とした電子決済プラットフォームについて説明したいと思います。

 

現在、特に新興国においてスマホ決済の普及がかなり進んでいます。例えば中国ではスマホのディスプレイに表示したQRコードを使って料金を支払うことが一般化しており、スーパーマーケットやレストランはおろか路上販売などでもスマホ決済を利用することができます。

 

新興国スマホ決済が普及した背景としては、現金決済に対する様々な問題がありました。例えば、新興国は犯罪が多く、現金が盗難されるリスクが高いです。また偽札をつかまされるリスクもあります(私が中国赴任していた頃、偽札をつかまされた日本人をちらほら見かけました)。更に新興国には路上に十分な数のATMが整備されておらず、現金を簡単に引き出すことができません。スマホ決済はこれらの問題を全て解決することができたため新興国において普及が一気に進むことになりました。

 

最近では先進国でも政府の後押しなどによりスマホ決済の普及が始まってきています。日本においても今年10月から消費税増税の対策としてスマホ決済に対するポイント還元が実施される見込みです。おそらく日本においてもこれからスマホ決済の普及が本格的に進んでいくでしょう。

 

スマホ決済が普及するとビジネスにおいて2つの大変革が起きると言われています。

 

1点目として、企業による商品の生産・販売プロセスが抜本的に変化します。現在、多くの企業において、商品が想定したよりも売れず、在庫として抱えてしまう事態がしばしば発生しています。

 

一方、人々がスマホ決済を利用するようになれば、購買履歴のビッグデータを収集することができ、そのデータを AIに学習させれば、ほぼ正確に商品の販売予測を立てられるようになると言われています。

 

もし、そのような正確な販売予測が立てられるようになれば、ほとんどの企業が高い料金を支払ってでもその予測を利用するでしょう。その予測があれば、高い在庫コストを抱えることなく超効率的に商品を提供できるようになるからです。

 

2点目として、スマホ決済のアプリを提供している企業がアプリ上で様々な商品や金融などのサービスを直接、販売するようになり、Eコマースのプラットフォームとしても拡大していくでしょう。

 

現在、多くの人々がアマゾン、メルカリ、ゾゾタウンなど複数のEコマースのサイトで商品を購入していると思います。しかしながら、Eコマースにおいては将来的にスマホ決済のアプリからの集客が非常に強くなっていくと思われます。

 

その理由として、スマホ決済のアプリを提供している企業は人々の購買履歴のビッグデータを持っており、どのユーザーがいつどのような商品を購入するか正確に把握しており、適切なタイミングでユーザーへ商品を紹介できるようになるからです。

 

また、ユーザーの立場からも、様々なサイトを使うよりも、一つの電子決済のアプリ上で買い物をした方が効率的に買い物ができます。

 

特にスマホ決済のアプリを提供している企業が圧倒的に優位な分野はローン、保険、証券などの金融サービスです。ユーザーが日常生活で電子決済を積極的に利用するようになると、そのユーザーの与信能力や必要とする医療・生命保険、投資商品が明確にわかるようになり、非常に低い貸し倒れリスクでローンを提供したり、そのユーザーのニーズに完璧にあった保険商品や投資商品を簡単に提供できるようになります。

 

実際、中国においてスマホ決済アプリをおさえているアリババやテンセントはこれまで銀行が貸し出せなかった零細事業者や個人に対してスマホ経由で積極的にローンを提供しており、金融ビジネスでも高い利益が稼げるようになってきています。

 

上記の理由によりスマホ決済のアプリをおさえた企業はEコマースや金融商品のビジネスにおいても優位に立つようになるでしょう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

上記で説明した通り、スマホ決済をおさえた企業は①購買履歴に関するビッグデータに基づく正確な販売予測の情報を様々な企業に販売することができ、②スマホ決済のアプリ上で様々な商品や金融サービスを消費者へ有利に販売できるようになります。この2つのビジネスによりスマホ決済のプラットフォームをおさえた企業は今のアマゾン、アップルなどのITメジャーをも遥かに凌ぐ売上げをあげる規模まで成長することが期待できます。

 

それでは、このスマホ決済を中心とした電子決済プラットフォームを支配する企業はどこになるでしょうか。すでにスマホ決済で購買履歴のビッグデータを獲得しており、更にはスマホ決済のアプリを経由して様々な商品・サービスを販売している中国のアリババテンセントが少なくとも中国においては確実にこれからも電子決済プラットフォームを支配し続けるでしょう。

 

中国以外の国において非常に有望な企業はVISAMastercardなどのクレジットカード会社だと思います。例えば米国ではクレジットカードによる支払いが一般化しており、これらのクレジットカードが購買履歴のビッグデータを独占しています。

 

ただし、これらの企業はアプリ上で様々な商品やサービスを提供するノウハウを持っていないため、おそらくITメジャーと連携して電子決済プラットフォームを取りにくると思います。私の想像ですが、これらのクレジットカード会社はネットショッピングではEコマースのプラットフォームで支配的な地位を占めているアマゾンと協力し、スマホ決済ではスマホOSで支配的な地域を占めているグーグルと協力することになると思います。

 

最後にダークホースとしてはFacebookが挙げられます。以前に以下の記事で書いた通り、Facebookは仮想通貨「Libra」の発行を予定しています。今後、人々がLibraを使用するようになれば、Facebookは購買履歴のビッグデータを獲得するとともに、Facebookのサイト上で様々な商品・サービスを販売するようになると思います。

itlover.hatenablog.com

 

スマホ決済を中心とした電子決済プラットフォームは2020年代に莫大な売上げが期待できる非常に魅力的なプラットフォームに成長すること間違いありません。そして、このプラットフォームをおさえる可能性が高いアリババ、テンセント、VISA、Mastercard、Facebook20年代に大きく成長する可能性が高いでしょう。今のうちにこれらの企業に投資した方がいいと思います。

 

なお、VISAとMastercardはVGTのETFにおいて上位に組み込まれているので、VGTを購入するのもいいと思います。私自身もこれらの企業に対しては個別株ではなくVGTを通じて投資しています。

リターンの高いおすすめETF比較ランキング(19年8月3日時点)

みなさん、こんにちは。

 

8月3日時点での人気のETFについて1年間、2年間、3年間、5年間の平均リターンを算出して以下の表にまとめました。

 

上位ランキングは以下の通りです。

 

【1年間の平均リターン】

1位 VGT:20.52%

2位 SPXL:13.55%

3位 HDV:11.67%

 

【2年間の平均リターン】

1位 SPXL:30.41%

2位 VGT:27.28%

3位 QQQ:18.82%

 

【3年間の平均リターン】

1位 SPXL:45.81%

2位 VGT:33.03%

3位 QQQ:24.26%

 

【5年間の平均リターン】

1位 SPXL:44.00%

2位 VGT:28.71%

3位 QQQ:22.85%

 

2年間、3年間、5年間の平均リターンのトップはSPXLでした。SPXLはS&P500のパフォーマンスの3倍の値動きになるように設定されている商品です。

 

2018年前半まで米国株式市場は一貫して上昇トレンドであったため、SPXLは他のETFを圧倒するパフォーマンスを出しました。一方、2018年後半から主に米中貿易戦争が原因で株価が大幅下落する局面が増え、そのため、ここ1年間のパフォーマンスは大きく落ちています。

 

私は、個別株に比べて価格変動が穏やかであることを理由にETFを積極的に購入していますので、価格変動が激しいSPXLを購入する気はありません。

 

株式投資は債券、貴金属、不動産などの投資に比べて期待リターンが高いというメリットがありますが、価格の変動率が相対的に高いというデメリットがあります。そのため、株式投資でコンスタントに利益を出すには如何に価格の変動率を下げるかが肝要だと思います。

 

注1:リターンの数値はSBI証券サイト(https://www.sbisec.co.jp/ETGate)を参照

注2:順位は1年間の年率リターンの高い順

注3:年率リターンは分配金再投資後の数値

順位

コード

ファンド名

1年間の年率リターン

2年間の年率リターン

3年間の年率リターン

5年間の年率リターン

1

VGT

バンガード・米国情報技術セクターETF

20.52%

27.28%

33.03%

28.71%

2

SPXL

Direxion デイリー S&P 500 ブル3 ETF

13.55%

30.41%

45.81%

44.00%

3

HDV

iシェアーズ コア米国高配当株 ETF

11.67%

10.51%

9.25%

10.85%

4

QQQ

インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET

10.99%

18.82%

24.26%

22.85%

5

BIV

バンガード・米国中期債券ETF

9.99%

3.91%

2.26%

3.78%

6

VOO

バンガード・SP500 ETF

9.16%

13.41%

15.71%

14.53%

7

IVV

iシェアーズ・コア S&P 500 ETF

9.14%

13.41%

15.70%

14.52%

8

SPY

SPDR S&P 500 ETF

9.08%

13.33%

15.60%

14.42%

9

VTI

バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF

8.15%

12.99%

15.42%

13.96%

10

BND

バンガード・米国トータル債券市場 ETF

7.96%

3.49%

2.08%

3.14%

11

VYM

バンガード・米国高配当株式 ETF

6.28%

9.61%

11.09%

11.86%

12

SPYD

SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF

5.75%

8.90%

9.00%

-

13

TOK

iシェアーズ MSCI コクサイ ETF

5.35%

9.19%

12.69%

8.97%

14

PFF

iシェアーズ 優先株式 インカム証券 ETF

5.02%

3.20%

3.35%

5.18%

15

VHT

バンガード・ヘルスケアETF

4.83%

10.48%

10.72%

13.62%

16

VT

バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF

3.15%

7.45%

11.62%

7.95%

17

VB

バンガード・スモールキャップ ETF

2.63%

10.21%

12.68%

11.18%

18

VWO

バンガード・FTSEエマージング・マーケッツ ETF

-0.02%

2.03%

8.18%

2.03%

19

VEA

バンガード・FTSE先進国市場(除く米国) ETF

-3.36%

1.49%

7.38%

2.93%

20

VGK

バンガード・FTSE・ヨーロッパ ETF

-3.82%

0.91%

7.67%

2.08%

 

itlover.hatenablog.com

【祝5000万円突破!!】投資資産の状況(2019年8月1日時点)

みなさん、こんにちは。

 

2019年8月1日時点の私の投資資産の状況を以下の通り報告いたします。

 

資産総額は50,002,501円でした。

今回から確定拠出年金(401K)で積み立てている金額も算入して計算したところ、投資資産が5千万円を突破していました!

 

資産は1ヶ月前の7月1日に比べて、360万円ほど増加しています(図1)。

 

1.投資資産の推移

f:id:ITlover:20190801073757p:plain

 

先月は新しく購入した商品はありませんでしたが、確定拠出年金(401K)で運用している「みずほ信託外国株式インデックス」を以下の図2(投資資産の構成図)に追加しました。

 

2.投資資産の構成(2019年7月1日時点)

f:id:ITlover:20190801073901p:plain

 

確定拠出年金(401K)は①会社が投資するお金の一部を出してくれる、②様々な税制優遇が受けられるといったメリットがありますが、利回りの高い魅力的な商品が少ないことがデメリットだと思います。私としても、せめてS&P500に連動する投資信託を購入したいと考えてますが、私の会社が加入しているみずほ銀行確定拠出年金(401K)サービスでは、株式関連のインデックス商品は全世界の株式市場に連動する投資信託しかありません。。。是非とも政府には確定拠出年金(401K)で購入できる商品の充実化を金融機関に働きかけて欲しいと思います。

 

なお、米中貿易戦争も一段落して、米国のFRB金利を引き下げたことにより、今後、数ヶ月間、米国株式市場は上昇トレンドが続くと思いますので、これからVGTのETFを毎月コンスタントに買い入れようと考えています。

2020年代に急拡大するプラットフォームについて(その1:MaaSと呼ばれるモビリティ・プラットフォーム)

みなさん、こんにちは。

今回はこれから大きく発展するプラットフォームについて解説します。

 

1990年代半ばにインターネットが普及したことにより様々なプラットフォームが誕生しました。様々なサイトを効率的に見つけることができる検索ツール、あらゆる商品を販売するEコマースサイト、多くの知人と円滑にコミュニケーションがとれるSNSなどがプラットフォームの代表例だと言えます。

 

また、それらのプラットフォームを支配するグーグル、アマゾン、アリババ、フェイスブック、テンセントなどがITメジャーとして台頭しました。

 

それでは2020年以降はどのようなプラットフォームが大きく成長するのでしょうか。私は配車を中心としたモビリティ・プラットフォームとスマホ決済を中心とした電子決済プラットフォームの2つが大きく成長すると確信しています。これらのプラットフォームを支配した企業は2020年代にグーグルやアマゾンのように急成長すること間違いありません。

 

今回はモビリティ・プラットフォームについて説明します。白タクが禁止されている日本ではまだ利用が進んでいませんが、海外では車やバイクをスマホの配車アプリを使って呼ぶことがもはや当たり前になっています。

 

私自身、2年前に中国に住んでいた頃は滴滴打車と呼ばれる配車アプリで頻繁に車を呼んでました。また、先日、米国へ出張した際、移動の際にはUberを利用しました。中国にせよ米国にせよ普通のタクシーよりも配車アプリで一般人が運転する車を呼んだ方が値段が安く、車内も清潔で、運転手もフレンドリーなので人気が出るのは当然だと思います。

 

現在、Uberや滴滴打車などは日々のユーザーの移動データをAIに学習させることにより、非常に高い精度で乗車予測ができるシステムを構築しようとしています。このシステムが完成すれば事前にいつ、どこに、何台車を投入すればいいかかなり正確に予測できるようになり、その結果、配車アプリ企業は必要最低限の車両数で効率的に配車することが可能になると言われています。

 

ちなみに、この需要予測システムが重要になってくるのは2025年以降の自動運転車の普及開始時期においてです。予測システムが計算した計画に基づき、一瞬で必要な場所に必要な台数を自動配車するになり、今と比べて配車の効率性は飛躍的に向上するでしょう。

 

また、自動運転車の普及が始まると、配車ビジネスのコスト構造も激変します。現在、日本のタクシー業界では原価の70%以上がドライバーや配車を手配する職員などの人件費が占めていると言われています。自動運転が普及すると運転や配車調整を人に代わってAIが代替するようになるため、70%の人件費がかからなくなり、料金を劇的に引き下げることが可能になります。

 

上記で説明した需要予測システムによる効率的な配車及び自動運転による劇的なコスト引き下げのダブル効果により、自動運転車の普及が始まる2025年以降、車を保有するのに比べて圧倒的に安い費用でいつでもどこでも5分以内に迅速に車を呼べるようになることが期待されます。

 

その結果、2025年以降、車は保有するものではなくなり、配車サービスで利用するものへと変わっていくでしょう。そうなれば、あらゆる人が日常生活で頻繁に配車サービスを利用するようになり、この配車サービスを中心としたモビリティ・プラットフォームがグーグルの検索ツールやアマゾンのEコマースサイトに匹敵する規模まで成長することは間違いありません。

 

まさに2025年をターニングポイントにして、モビリティ・ビジネスは激変し、既存の自動車産業やタクシー・バス業界が大打撃を受ける代わりに、超巨大なモビリティ・プラットフォームが形成されるでしょう。

 

それでは2025年以降、このモビリティ・プラットフォームをどの企業が支配するかですが、当然ながら、現時点で、多くのユーザーとドライバーをすでに囲い込んでいるUber、滴滴打車などの配車アプリ企業が非常に有望でしょう。

 

ただし、2025年に自動運転車の普及が始まると状況は少しずつ変わってくると思います。自動運転テクノロジーで圧倒的な優位性を持つグーグルが各国においてNo1配車アプリ企業のライバル(例えば米国ならLyft)と手を組んでモビリティ・プラットフォームを奪いにくる可能性が十分あります。

 

一方、グーグルが各国のNo1配車アプリ企業と包括提携する可能性もあると思います。複数のNo1配車アプリ企業の筆頭株主であるソフトバンクの仲介を通じてグーグルとNo1アプリ企業との強者連合が形成されれば、強者連合のメンバーが確実にモビリティ・プラットフォームから得られる利益を独占するでしょう。坂本龍馬を尊敬している孫正義さんが薩長同盟を意識して、今後、そのような動きをとっても全くおかしくはないと思います。

 

以上の観点から、私はモビリティ分野においてグーグルが台風の目になると思っており、今のうちからグーグルには多額の投資をしています。

 

一方、配車アプリ企業は、競合間での激しい競争の中、どの企業も業績赤字が続いており、現時点で黒字化の見込みが全く立っていない状況です。今年、UberLyftが上場しましたが、株価はいまいち冴えません。おそらく黒字化の見込みが立たないと株価は大きく上昇はしないでしょう。

 

私も現時点ではこれらの配車アプリ企業への投資は全く考えていません。投資したところで数年間は大きく値上がりする見込みが立たないので。。。

 

これらの配車アプリ企業への投資は自動運転車の導入が視野に入り、業績改善の見込みが立ってきたら初めて本格的に検討を開始しようと考えています。

やはり米国は欧州や新興国に比べて圧倒的な投資リターンを出していた

みなさん、こんにちは。

 

前回記事で人気ETFの過去リターンを算出しましたが、米国、欧州、米国以外の先進国、新興国、全ての国の株式市場におけるここ1年間の平均リターンは以下の通りでした。

 

【地域別の株式投資リターンランキング(19年7月27日時点)】

1位 米国:約8.2%(該当するETF:VOO、IVV、SPY

2位 世界全体:約3.3%(VT)

3位 新興国:約0.3%(VWO)

4位 米国以外の先進国:約−1.8%(VEA)

5位 欧州:約−1.9%(VGK)

 

正直、私自身、米国と他地域の投資リターンの格差がここまで大きいとは思いませんでした・・・上記の数値を見ると、米国が8%以上の圧倒的なリターンを叩き出していますが、新興国はほぼゼロ、欧州などの米国以外の先進国はマイナスであることがわかります。

 

やはり地域別に考えると、米国への集中投資が鉄板です。

 決して新興国や欧州へ集中投資することはやめましょう。

 

【参考:前回記事】

itlover.hatenablog.com

リターンの高いおすすめETF比較ランキング(19年7月27日時点)

みなさん、こんにちは。

 

今回は人気のあるETFについて、1年間、2年間、3年間、5年間の平均リターンを算出して以下の表にまとめました。

 

今後、どのETFへ投資すべきか検討する上で、以下の表のリターンの数値が大きな判断基準になると思います。

 

なお、1年間の平均リターンが1番高いETFは私がいつも勧めているVGTでした。また、VGTは2年間、3年間、5年間の平均リターンも他のETFに比べて、とても安定した高いリターンを出していることが表から見て取れます。

 

私自身、VGTのリターンの高さを客観的に把握するため、以下の表は毎週リバイスして公開したいと思います。みなさんもETFへ投資する際には是非とも参考にしてください。

 

注1:リターンの数値はSBI証券サイト(https://www.sbisec.co.jp/ETGate)を参照

注2:順位は1年間の年率リターンの高い順

注3:年率リターンは分配金再投資後の数値

順位

コード

ファンド名

1年間の年率リターン

2年間の年率リターン

3年間の年率リターン

5年間の年率リターン

1

VGT

バンガード・米国情報技術セクターETF

16.96%

26.88%

34.64%

28.20%

2

HDV

iシェアーズ コア米国高配当株 ETF

13.64%

11.54%

8.90%

10.18%

3

SPXL

Direxion デイリー S&P 500 ブル3 ETF

10.75%

30.34%

46.98%

28.19%

4

BIV

バンガード・米国中期債券ETF

10.17%

4.12%

2.51%

3.65%

5

VOO

バンガード・SP500 ETF

8.24%

13.37%

15.93%

13.78%

6

IVV

iシェアーズ・コア S&P 500 ETF

8.22%

13.34%

15.92%

13.76%

7

SPY

SPDR S&P 500 ETF

8.17%

13.29%

15.82%

13.67%

8

BND

バンガード・米国トータル債券市場 ETF

8.10%

3.63%

2.28%

3.01%

9

QQQ

インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ET

7.69%

18.74%

25.48%

22.38%

10

VYM

バンガード・米国高配当株式 ETF

7.49%

9.88%

11.00%

11.10%

11

VTI

バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF

7.23%

12.82%

15.69%

13.23%

12

SPYD

SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF

7.06%

9.23%

9.18%

-

13

TOK

iシェアーズ MSCI コクサイ ETF

5.68%

9.53%

13.38%

8.56%

14

PFF

iシェアーズ 優先株式 インカム証券 ETF

4.99%

3.31%

3.49%

4.99%

15

VT

バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF

3.31%

7.91%

12.42%

7.57%

16

VB

バンガード・スモールキャップ ETF

1.75%

9.25%

13.01%

10.40%

17

VWO

バンガード・FTSEエマージング・マーケッツ ETF

0.33%

3.02%

8.92%

1.83%

18

VEA

バンガード・FTSE先進国市場(除く米国) ETF

-1.77%

2.55%

8.84%

2.88%

19

VGK

バンガード・FTSE・ヨーロッパ ETF

-1.86%

2.15%

9.16%

1.91%

 

【老後資金2000万円も全く問題なし】誰でも実践できる投資で確実に資産を増やせる方法

これまで数年間、私は株式投資を行ってきました。初めのうちはトライアンドエラーを繰り返しながら投資を続けてきましたが、そのような試行錯誤を通じて、長期的に確実に資産を増やせる普遍的な投資戦略が明確化してきましたので、今回はその戦略について詳細に説明していきます。

 

戦略1.目標を立て、計画通り余剰資金を毎月捻出する

まさにビジネスでもそうですが、大きな成功をおさめるには①具体的な数値目標を掲げ、②その目標を達成するうえで日々行うべき行為を明確化して、③明確化した行為を着実に日々実践することが必要不可欠です。

 

確実に資産を増やすために、まず“〇〇年までに〇〇万円の資産を形成する”という目標を立てましょう。

 

私の場合、以下の複利計算サイトを利用して目標を立てています。

投資信託のガイド|ファンドの海】http://guide.fund-no-umi.com/tools/comp.html

 

ちなみに私は2019年4月時点で約4500万円の元手があり、2027年3月時点(約8年後)までに資産を2億円以上増やす目標を立てています。

 

なお、1年あたりの期待リターンについてですが、私は長期的なリターンとして以下の見立てをしています。

・米国の大手IT企業を中心としたITセクターへ投資:約15%

・米国のS&P500指数に連動する投資信託/ETFへ投資:約8%

・世界の株式市場全体に連動する投資信託/ETFへ投資:約4%

 

私はITセクターへ投資しているので1年あたりの期待リターンは15%を数値として使用しています。元手、目標額、期待リターンの数値が決まれば、毎年・毎月いくらお金を投資に回すべきか算出することができます。

 

毎年・毎月いくらお金を投資に回すべきか明らかになったら、次にそれを着実に実行しましょう。投資に回せる余剰資金は収入と支出の差額になりますので、余剰資金を捻出するには収入を増やすor/and支出を減らす必要があります。

 

収入を増やす最も確実な方法は結婚している場合、夫婦共稼ぎを続けることです。可能な限り共稼ぎを目指しましょう(ちなみに私の場合、色々な都合があり、私一人が働いてます。。。人生なかなか思うようにいきません(苦笑))

 

支出を減らす最も確実な方法は固定費の中で最も高い割合を占める住居費をできるだけ引き下げることです。独身の場合、まずは①自宅で両親との同居を目指し、それが難しい場合は②社宅に入ることを目指し、それも難しい場合は③複数人でのシェアハウスを目指しましょう。

 

私の場合、独身時代は幸運にも家族と同居できたので、その他の支出をほとんど節約しなくても毎年勝手に余剰資金が貯まっていきました。親からいい加減に実家から出ていけと言われても結婚するまで実家にしがみつきました(もちろんある程度の生活費は実家に毎月入れてましたが)。

 

戦略2.捻出した余剰資金を適切に投資する

毎年・毎月、予定通り余剰資金を捻出したら、後はその資金を投資するだけです。ちなみに、研究者が様々な投資対象について100年以上の超長期間の期待リターンを算出したところ、統計上は不動産と株式が最も期待リターンが高かったそうです。

 

ただし、不動産の場合、①1回の投資額が莫大になる、②日本の場合、不動産の価値は年々低下する傾向が高い、③日本の場合、大地震が起きて不動産が破壊されるリスクがあるなどの理由から私は投資を避けています。

 

結果として、私は株式投資のみを実施していますが、株式投資をする際に留意しているポイントは以下の通りです。

 

ポイント1:株価下落リスクを適切にコントロールする

私は投資している個別企業の株価が50%暴落しても、投資総額の減少が5%以下になるように調整しています。具体的に言いますと、1社あたりの投資金額を投資総額の10%以下におさえるようにしています。

 

現在、私はグーグルの株を投資資産の約10%分保有していますが、将来、グーグルの株価が50%下落する事態が発生したとしても、投資総額の減少額は50%×0.1=5%で済むことになります。

 

基本的にはリスク・コントロールの観点から、価格変動の激しい個別株よりも価格が安定的な投資信託/ETFをメインに投資したほうがいいでしょう。私も投資総額の半分以上をETFに充てるとともに、そのETFに含まれていない有望な企業のみ、個別株を保有するようにしています。

 

ポイント2:確実に成長する産業や国に集中投資する

上記ではリスクを回避するために個別株を過度に持たずに投資信託/ETFをメインに持つことを推奨しました。一方、出来る限り高い期待リターンを達成するため、産業や国については確実に成長する分野に集中して投資した方が実際にはローリスクで効率的に資産を増やせます。

 

私は長年IT企業で働いており、更にはこの分野で最先端をいく米国・中国にも住んでいたため、今後、米国や中国のITメジャーがあらゆる産業に進出して高い利益を獲得していくことを確信しています。そのため、私はITセクターの株式で構成されているVGTをメインで保有するとともに、VGTに含まれないグーグル、フェイスブック、アリババの株を個別に保有しています(VGTについて詳しく知りたい読者は以下のページをご覧ください)。私はIT分野に集中投資すれば年率15%前後の期待リターンを達成できると考えています。

itlover.hatenablog.com

 

一方、「IT産業は怖くて投資する気になれない」という場合、代わりに米国の上場企業に集中投資することをお勧めします(米国市場の優位性については以下のページをご覧ください)。米国のS&P500に連動する投資信託/ETF(例えばVOO)に投資すれば年率8%前後の期待リターンは達成できます。一方、新興国に集中投資するのはリスクが高すぎるので絶対NGです(その理由も以下のページに書いています)。

itlover.hatenablog.com

 

ポイント3:株価が暴落しても決して狼狽売りしない。株価が回復するまでじっと待つ

上記のポイント1、ポイント2を踏まえて投資をしている限り、仮に株価が大きく暴落したとしても、じっと耐えていればいずれ必ず株価は回復します。

 

実際、2008年にリーマンショックが発生した際、4半期ごとに利益を出さないといけない上場企業は保有する株を売却して損失を確定させましたが、多くの個人投資家は回復するまでじっと耐えることで資産を守ることに成功したと言われています。

 

一方、信用買いや信用売りと呼ばれるレバレッジをかけての株の売買は絶対NGです。この場合、株式市場が暴落した際に損失を確定しないとならなくなり、暴落時に一番有効な塩漬け戦略がとれなくなります。

 

証券会社のサイトなどでは信用取引を積極的に宣伝していますが、これらの企業は投資家が信用取引を利用するとたくさん手数料が入ってくるため、あくまで自社利益の観点から信用取引を勧めているだけです。決して騙されないようにしましょう。

 

ポイント4:初めはドルコスト平均法でコンスタントに投資する。価格変動のパターンがわかってきたら、下落トレンド時に指値で購入を狙う

個別株や投資信託/ETFには価格変動のパターンがあります。基本的に個別株は変動が激しく、投資信託/ETFはゆるやかですが、想定される短期的な変動幅や上限・下限価格は各商品によって千差万別です。

 

初めて投資をする人はまずドルコスト平均法と呼ばれる一定少額の投資を毎月継続する手法を取ることをお勧めします。

 

継続投資を通じて毎日株価を見ていると、だんだんその商品の変動幅や上限・下限価格がなんとなく見えてきます。それが見えてくるようになれば、想定される下限価格付近で商品を指値(売買価格を指定する注文方法)で買えるようになってきます。また、購入したものの、なかなか値上がりをしない商品を上限価格付近で指値で売り抜けることもできるようになってきます。

 

もちろん予想が外れることはありますが、指値で注文をしていれば、予想が外れた場合、売買が成立しないだけなので損失が出ることはありません。

 

もし「毎日、株価をチェックするのはめんどくさい」という場合、ITセクターもしくはS&P500に関連する投資信託/ETFをメインで購入していれば、毎月決まった日に定額でコンスタントに買い入れるだけでも資産は着実に増えていきます。

 

まとめ

上記に書いたことは、自分の所見及び株式投資に関する様々な書籍、サイトをまとめて要約したものです。上記の内容に基づいて投資を行えば誰でも効率的に資産を形成することができると思います。

 

最近、麻生大臣が「老後に快適な生活を送りたいならば、年金以外に2000万円が必要」と発言して、反発を受けていますが、適切に投資をすれば老後に2000万円を確保するのは比較的容易です。

 

ぜひ、みなさん実践してみてください!!

996問題は中国IT企業の成長性の高さを示していると思う

現在、中国ではIT業界における996問題がクローズアップされています。

 

996問題とは、中国のIT業界で午前9時から午後9時までの12時間を週6日間働くことが一般化していることを示しています(実態はもっとひどいという話もありますが・・)。

 

私は2年ほど前まで中国で働いていましたが、その頃から中国のIT業界の猛烈な働きぶりは現地で度々ニュースになっていました。例えば、IT企業が集積している北京の中関村で午後10時以降も多くのオフィスで電灯の灯りがついている状況がテレビで報道されたりしていました。

 

日本では働き方改革が進行中であり、従業員の労働環境の改善が急ピッチで進んでいます。そのような背景もあって、日本では中国の996問題を否定的にとらえる傾向が強いように思います。

 

しかし、私はこの996問題について別の見方をしています。それは、この問題は中国のIT業界がまだまだ成長の余地が高いことを示しているという見方です。

 

1970年から1980年代にかけて、日本も多くのサラリーマンが猛烈に働いていました。なぜ、彼らは猛烈に働いていたかと言いますと、その時代、日本は高度経済成長期であり、市場が急拡大しており、会社としては従業員を長時間働かせることで、着実に売り上げを伸ばすことができ、従業員も昇給や割増しのボーナスでその恩恵を受けることができたからです。まさにこの好循環によって1980年代後半には日本企業が世界時価総額ランキングで世界上位を独占するに至ったのだと思います。

 

一方、現在、日本の多くの会社は従業員の労働時間を削減することに力を入れています。やはり過労死などの問題により、日本企業としても従業員の健康を重視せざるを得なくなってきたのでしょう。

 

ただし、それ以外にも、もはや日本企業は従業員を猛烈に働かせても業績がよくならなくなっていることが、従業員の労働環境の改善に大きく影響していると思います。

 

現在、人口減少に伴い、すでに日本市場は飽和状態にあり、海外市場もアメリカのITメジャーや中国企業が席巻しているため、多くの日本企業が、これから高い売り上げをあげて、大きく成長していくことが難しくなっています。

 

このような状況の中、日本企業としては、もはや従業員を長時間働かせる必要性がなくなっており、むしろ無駄な残業を削減したほうが残業代の削減を通じて利益を増やせる状況になっているのだと思います。つまり、インプットを増やして売り上げを伸ばせるフェーズから、インプットを減らしてコストを削減したほうが業績がよくなるフェーズへと変わってきているということです。ビジネスは成熟化するにつれて、このように費用を最小化して利益を絞り出すことが合理的になってきます。

 

また、日本の大企業は年配者を中心に人がだいぶ余っており、残業問題については、そのような人へ仕事を適切にシェアすれば、比較的容易に解消されるでしょう(ただし慢性的に人材不足であるベンチャーなどは例外です)。

 

一方、中国のIT業界では中国社会のデジタル化が急ピッチで進んでおり、至るところに大きなビジネスチャンスが転がっています。そのようなチャンスを他社に先駆けてつかむためには従業員に猛烈に働かせることが一番効果的なのだと思います。

 

更に中国のIT企業は従業員の平均年齢が非常に若く、時間的に余裕のある年配者がほとんど存在せず、結果、みんなが忙しいため、仕事を他人へシェアできない状況にあるのでしょう。それは見方を変えると、中国のIT企業は日本企業と比べて、高給取りだけど仕事があまりない年配者を抱えていないため、生産効率が格段に高いと言えます。

 

正直、私はどんなに給与が高くとも中国のIT企業で働きたいとは思いません。。。気力みなぎる20代ならばまだしも、30代後半である今の年齢で1日12時間、週6日間働き続けたら、1年ももたずに心が折れる自信があります(苦笑)。子供と過ごす時間を確保するためにも週末は2日間休みたいです。

 

従業員の立場から言うと、中国企業で猛烈に働くよりも、日本企業でワークライフバランスのとれた働き方をする方が幸せだと思います。仕事も大事ですけど、家庭や自分の時間もそれと同じくらい大事ですしね。

 

私は中国のIT企業は働き先ではなく投資先として有望であると考えています。996問題を見る限り、中国のIT企業は従業員が猛烈に働くことで、これからもどんどん成長していき、株価も長期的に上昇を続けると思います。日本人としてはアリババやテンセントなどの株式を保有し、キャピタルゲインを狙っていくのがいいでしょう。

 

ちなみに中国本土の株式市場に上場している企業の個別株や中国の株式市場に連動している投資信託及びETFに投資するのはおすすめしません。中国政府は中国市民が持つ資産の海外移転について厳しい規制をかけており、そのため、中国国内のマネーの多くは国内の不動産市場や株式市場へ流れ込む傾向が強く、中国本土の株式市場は常に割高で、海外投資家にとってあまりうまみがありません。

 

上記の理由から、中国企業に投資するならば、香港やニューヨークの株式市場に上場しているハイテク関連の中国企業に投資するのがいいと思います。ちなみにテンセントは香港、アリババはニューヨークの株式市場に上場しています。